人気ブログランキング | 話題のタグを見る

気づいたら守旧派?

 茫猿の地元士協会では、地価調査と地価公示の端境期を利用して士協会ネットワーク(WAN)の切り替え作業がただ今進行中である。 従来のWAN(Wide Area Network)はNTTフレッツグループ回線を利用したVPNであった。この方式はそれ以前のコールバックシステムに較べれば、はるかに早くて便利でかつ安価であったが、小規模なネットワーク形成に適するというフレッツグループ固有の問題点を抱えていたことから、士協会構成員が増えてくるに従って幾つかの課題が浮上してきていたのである。



 そこで前・現執行部は新しいVPN(Virtual Private Network)構築に取り組んだという訳である。 この新システムについて、茫猿はいささか懐疑的であったのは否めないことである。 一つはNTTが安全を保証する従来システムと比較して同等以上の安全性が担保されるのか。 一つは安定性は保証されるのか。 多分、これが一番大きな懐疑理由だと思うのだが、理事会決定がアナウンスされるだけで、新システムの詳細説明もほとんど無かったのである。

 委託業者のウエブサイトも示されなかったし、会員事務所における設定は委託業者の出張サービスによるという説明のみであり、セキュリテイを担保する意味から接続IDもPWも会員には知らせないという説明であった。 しかも委託業者のリモートアクセスを設定するということであった。 いわば情報が極端に不足していたから、是非の判断材料に事欠いていたのである。

 茫猿にしてみれば、新しいネットワークに移転する相当理由も判らないうちに自分のPCにブラックボックスが設定され、リモートアクセスを容認しなければならないというのは、何とも受認の範囲を超えているように思われたのである。

 今から思えば、《というのは建前論であり》、構築後既に5年を経過した旧WANはいささか時代遅れになっていたとはいえ、慣れ親しんだシステムであるし、5年間無事故で経過していたし、構築に際しては士協会25周年事業の一環として少なからず関与したシステムでもある。 有り体に云えば自分が古いと否定されたような気分も感じていたのである。 

 しかしながら新システムは茫猿の与り知らぬところで、どんどん進行してゆき、六月初めからは各会員事務所で委託業者による接続設定が開始されたのである。 七月になって業者から茫猿の設定予定日の打ち合わせ連絡が届いたときに、茫猿は「私は自分で接続設定しますから、マニュアルとID&PWを発行して下さい。」と申し入れたのである。

 つまり、業者の立ち入りもリモートアクセスもやんわりとお断りしたというわけである。 その後、士協会執行部と業者のあいだでどのような折衝が行われたかは全く知らないが、新システムへの切り替え日は08/03に決定しましたという案内が事務局から届くのと前後して、設定に必要な書類が業者から届いたのである。

 自分で設定しますと言い切ったものの、本音の部分では若干の不安を抱えて地価調査が終了し、購入新PCが到着する時を待っていたというわけである。 結論から言えば、接続設定は特段のトラブルもなくサクサクとできたのである。 設定が終了したので、現在は仮運用されている士協会VPN-WANに接続して、一昨日よりWANサーバ上の共有フォルダーや最新Cybozu V.8を色々と試しているところである。

 旧WANのCybozu-AGは2003/01発売のシステムであるから、それと較べれば現行のCybozu8は随分と進化し、使い勝手も格段に向上している。 サーバ上の会員共有フォルダー自体には特段の変化はないが、新VPN-WANは常時接続であるから、VPN-WANとインターネットがシームレスで利用できるようになっており、アクセスに関わるストレスが随分と軽減されたといえる。

(注)「WANサーバ上の会員共有フォルダー」  
  WANサーバ上に事務局や各委員会、分科会毎の共有フォルダーを設置して、様々なデータファイルを、自在にアップロードしたり、ダウンロードできるシステム。 複数のファイルを圧縮取り纏める必要もないし、相当の大容量ファイルでもストレス無くアップ・ダウン出来る便利で使い勝手の良いシステムです。 共有フォルダーは入れ子式ですから、目的フォルダーへのアクセスも容易です。


 士協会がVPN-WANに利用するレンタルサーバも、委託業者サイトで知る限りにおいてだが、安全と安心が十分に確保されているようである。 5年という歳月は大きいのであり、ネット環境もセキュリテイもバックアップも格段の進化を遂げたと云えるのである。 茫猿自身は業者による接続設定を断って、自分で設定作業を進めたのであるが、我が儘といえばワガママかもしれないが、自らのリテラシー向上には役立ったと考えているし、ネット環境の進化を体感できたことも良いことだと思えるのである。

 危うく守旧派になるところであったが、ネットの世界というのは三日見なければ浦島になるところということを改めて実感しているのである。 守旧派といえば、REA-NETや公示のオンライン化では年配層を中心にして抵抗がまだまだ大きいと聞くが、緑寿の茫猿もいつのまにやら「変わることを厭う年頃」になっていたと、反省しきりである。

 茫猿のために弁解すれば、もう少し事前に情報開示が為されていたら、それ程に懐疑的にならずに済んだものとは云えようが、執行部にしてみれば「詳細を説明しても理解できないだろうし、設定は業者が行うのだから任せてくれれば良かろう。」というのが真実に近いのかもしれない。

 いずれにしても結果オーライである。 08/03より新VPN-WANが運用されれば、地元士協会のネット環境は久しぶりに最先端に至ることとなるし、安全、安心、安価な環境が実現するのだから、ここまで尽力された担当役員氏に感謝申し上げ、その労をねぎらいたいと考えています。

 先進士協会などとおだてられていい気になっているうちに、いつのまにやら周回遅れになっていたという笑えない喜劇を地でいっていたということなのであろう。 願わくば、進取の気風を絶やすことなく、執行部はこれからも先進的試みに挑戦を続けて頂きたいと期待するのである。


《いつもの蛇足です。何かのご参考になればと思います。》
 前述のとおり、この件に関して茫猿は局外者ですから、導入されたVPN-WANの仮運用に接した感想と、WEB-SITE公開情報から知り得た事柄です。

1.岐阜県士協会が導入したVPN-WANの構築業者
 委託業者:株式会社 トゥ・ステップ(two-step)

2.TCOという考え方を基本としているようです。
TCO:Total Cost of Ownership
 TCOとは、コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額。従来、コンピュータシステムのコストは製品価格(導入費用)で評価されることが多かったが、近年のコンピュータシステムの複雑化や製品価格の下落などにより、コンピュータシステムの維持・管理やアップグレード、ユーザの教育、システムダウンによる損失など、導入後にかかる費用(ランニングコスト)が相対的に大きな存在となったため、企業ユーザの間でTCOが注目されるようになった。

3.Secureプランに基づいたようです。
 共有SSL&大容量WebDAVサービス&Supervision。
茫猿の理解の範囲を超えますので、詳しくは(株) トゥ・ステップ・サイト並びにこちらから

4.安心と信頼(トゥ・ステップ・サイトより)
・安心のポイント1:データセンタ
大地震にも耐えられる耐震構造と、機器を破壊しない不活性ガス消火設備、停電時にも安定した連続稼働が可能な自家発電設備を備えた、高品質なデータセンタを使用しています。
データセンタはセキュリティ面も万全。幾重にもかけられた防犯設備で、侵入者から機器やデータを守ります。

・安心のポイント2:サーバ
ディスク装置、電源部などの主要部分はもちろん冗長化。さらに標準でデータのバックアップを毎日行います。 サーバは24時間365日の自動監視。万が一の障害にも迅速に対応します。

5.岐阜県士協会のWAN導入の歴史
 もう歴史になりました岐阜会のWAN導入の経緯は、このサイトで幾つかの記事を掲載しています。そのうちの主なものを掲載します。

岐阜県WANシステム(1999年9月 8日)
 99年にさかのぼること数年前から運用しているコールバックシステムによるWANについて。

未必の故意 (2001年5月27日)
 グループウエア:サイボウズの導入に関わる百家争鳴騒ぎです。

改革推進派と現状維持派 (2001年8月12日)
 同じく、サイボウズの導入について会員の理解が得られないことを嘆いていますが、当時、守旧派に苦しんだ茫猿が、気づいてみたら危うく守旧派になりかかっていたと思えば、歴史は繰り返すというか、人は皆老いるものということを改めて思い知らされます。

ブロードバンド化-2 (2004年4月25日)
 現在のフレッツグループによる閉鎖回線網によるWAN導入の顛末です。

・ブロードバンド化開始(2004年8月 3日)
 そして県部会・士協会設立二十五周年記念事業として、ブロードバンド化WAN運用開始について記しています。 失敗に学ぶことはとても重要だが、成功体験は捨て去ることが必要だと云うこと。 そしてTOPランナーといえども惰眠をむさぼっていれば、なまじの成功体験があるだけに、いつのまにやら周回遅れになっているという落とし穴が存在するのだという教訓を実体験として、今味わっている茫猿です。


【蛇足・その2:PCの更新】
 地価調査と地価公示の端境期である七月はPCの更新適期である。まして、Windows XPの正規販売が終了し、ダウングレード版もWindows7が発売されるこの秋以降には入手困難と云われていることであるから、秋までには一台購入する予定だったが、ネットワーク更新に併せて新機を注文したのである。 購入した機種はEpson Endeavor Pro4500 である。

 インテルCore DuoプロセッサE7400に、4GB・SDRAM搭載だから速さには納得している。 それにしても一昔前ならオバケみたいな高速マシンが随分と安く手にはいるようになったものだと思う、5年リースで月額リース料が59千円もしていたN5200(92年頃)に較べれば、リース料4ヵ月分にも満たないのであるから、嘘みたいである。


【蛇足・その3:更新料否定判決】
  賃貸マンションの契約更新の際に「更新料」の支払いを求める契約条項は、消費者契約法に反するとして、支払い済み更新料の返還を家主に求めた訴訟の判決が07/23、京都地裁であった。
 判決は「入居者の利益を一方的に害する契約条項」と認定、同法に基づいて、更新料の契約条項を無効とする初の判断を示し、家主に請求全額の支払いを命じた。
 更新料が設定された賃貸住宅は近畿圏や首都圏などに多いが、同種の訴訟では更新料を有効とする判断が地裁段階で続いており、判決は他の訴訟にも影響を与えそうだが、何よりも鑑定士は継続賃料評価をどう考えてゆくのか注目される。
by bouen | 2009-08-11 18:28 | 茫猿の吠える日々


<< ハイテク農業 郡上那比・割れた墓石 >>