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土砂災害に地震

 今朝五時過ぎのこと、ラジオ深夜便を聞くともなく聞いていたら、突然チャイムが鳴り地震緊急速報が報じられた。 「東海沖に地震発生」とのアナウンスである。 ビックリして目が覚め身構える間もなくユラユラときたのである。 揺れが大きくなるのか静まるのかと緊張していたら、間もなく揺れは治まったのである。 十数年前の神戸地震の時は、最初にドーンと突き上げるような揺れがきたのだが、それに較べればユラユラという揺れだから、さほど大きくはないなと思ったものの「東海地震」との関連も思い起こされて、嫌な気分だった。 ラジオの続報では伊豆地方の揺れが大きいことや、落下物による被害などを伝えていたが、総じて被害は軽微なようで何よりである。
【追記:PM17:00】
 総じて軽微とは書きましたが、夕刊を見ると東名高速道の路肩崩落や負傷者数87人など、決して警備という状況ではない。東海道という大動脈で地震が発生すれば、どんな状況が生まれるかを如実に示している。



 それにしても梅雨明けすら定かでない長雨や局所的豪雨、先月末の山口県防府市を中心とする土砂災害、昨日は兵庫県中山間地での土砂災害が続いている。 土石流などで親族を亡くされた方や被災された方々にお見舞いを申し上げます。 まだ台風9号による豪雨も心配されることから、地震によって地盤が緩んだ地域の二次被害も懸念されるのである。

 昨夜のニュースステーションで古館キャスターが、「今や異常豪雨ではなく、気象変動が起きているのだ。」と言っていました。 確かに一連の土砂災害の直接的原因は異常豪雨でしょうが、山並みの比較的穏やかな中国山地で土石流や異常出水が発生するのは、山そのものの荒廃が背景にあるのではないかと思われます。

 茫猿の記憶をたどっても、十代二十代の頃は、長良川や揖斐川が増水するのは台風が去って晴れ間が見えてからでした。 最近は台風による大雨とほぼ同時に川は増水します。 都市河川の急な増水は原因が別でしょうが、中山間地や平野部の急な増水は山の保水力低下が大きく影響していると思われます。

 木造の橋ならともかく、RC造の橋が幾つも苦もなく崩壊している写真を見ると、橋桁や周辺に大量の流木が堆積しています。 それらの大量の流木は、間伐したあとに山に放置された伐採木もあるでしょうし、何より間伐・除伐の手が届かないままにモヤシみたいな山林になってしまった山が抜けたことによる流木であろうと思われます。

 現場を見たわけでないから確かなことは言えませんが、数年前に飛騨地方をおそった中小河川の氾濫やコンクリート橋が流された現場を見たときには、根っこ付きの流木が大量に川原や橋桁に堆積していました。 上流の山が立木ごと崩壊して流れてきた、いわゆる山抜けによる被害だったと記憶します。 地元の人達の見解も同様でした。

 戦後から二十年以上にわたって、杉・桧の一斉植林が行われたものの、1970年代以降は山の手入れが、それを担う人の高齢化や輸入材に押された材木価格の低迷などの影響でなおざりにされるようになり、今や間伐適期の山が当初の植林状態のままに放置されています。

 密植モヤシ林ですから、昼なお暗く下草も生えず、鳥の声も虫の声も聞こえず、根元の土は荒れて流失し、落ち葉の堆積もない砂礫化しています。 広葉樹と違って根張りが狭く浅い杉桧などの針葉樹は、何かをきっかけにして崩壊するのであろうと思われます。 造林育林についての細かい話はさけますが、ここにも目先の経済効果のみを追いかけた日本の林野行政の貧困さと、コンクリート砂防ダムに偏重した砂防行政のむなしさが見えます。 この十年来、繰り返される土砂災害は人災の一面が大きいのではと思われます。

 里山やそれに続く用材育林地の荒廃が山の保水力(緑のダム機能)を失わせ、異常豪雨を引き金にして異常出水や土石流を引き起こすという災害の連鎖を招いているのだとしたら、私たちは防災や育林についての考え方を根本から改めないと、この連鎖は止めようがなかろうと思われます。 もちろんのこと、直ちに山の管理や育林方法や植栽樹種を改めても、その効果が現れるまでには長い時間を要します。 でも、何処かの時点で改めないと、このマイナスの連鎖は止めようがなかろうと思われるのです。

『追記』
 《 G空間行動プラン:施策別概要集:整理番号64 》
 施策別概要集:整理番号64は活断層データベースについてフォローアップされている。施策成果の公表である「活断層データベース」をみると、全国の活断層が詳細に判る。都道府県検索などから活断層セグメント検索をすると各セグメントについて、最新活動時期、地震後経過率、将来活動確率などを知ることができる。 地図は電子国土版とGoogleMap版が用意されている。

 全国各地で土砂災害防止法に基づく「土砂災害特別警戒区域」がインターネット開示されつつある。 例えば東京都の例は、このサイトから閲覧できる。

 
by bouen | 2009-08-11 18:37 | 茫猿の吠える日々


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