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隔靴掻痒ののち

 隔靴掻痒なる記事が影響したのかどうかは定かではないが、NSDI-PTが動き始めています。 越年はやむを得ないにしても、年明け早々にβ版ブラッシュアップ着手や市販背景図(GIS-ASP)の選定が行われる見通しが立ちつつあります。 日程が窮屈なのは致し方ないにしても、来春3月頃に開催される不動産鑑定シンポジウムに併せてプレゼンが実施できる目途も立ちつつあるという状況の今日この頃です。

 全国の不動産鑑定士の約半数は、この時季はクリスマスも年越しもない季節を過ごしています。 それは地価公示作業のピークに差し掛かっているからです。 昔、ある先輩が「お屠蘇をゆっくりと楽しめるのは地価公示業務から引退した後だな」と、しみじみ述懐されていたのを思い出します。 せめて暮れの三日間と正月三ヶ日だけは仕事から離れたいと毎年々々思い続けて三十有余年、今年も暮れも正月もない年越しになりそうな茫猿です。




 そんななかに、GIS-ASP照会に応えてきている各社に年末年始の予定を伝えたところ、各社ともに既に歳末休暇に入っている様子である。9連休か10連休というのであろう。 今日、年末の挨拶に来訪してくれた某社ではボーナスゼロだというし、越しかねている暮れを持て余している人も少なくないという。 歳末休暇はないけれど仕事に追われる鑑定士はまだましと云うべきか。

 そんな鑑定士お決まりのボヤキはさておいて、NSDI-PTのGIS-ASP業者募集の件ですが、鑑定協会ではこの種の業務は本来公募が原則です。 今回も当然のこととして公募の準備を進めていたのですが、様々な事情から公募公告が遅れていましたが、これも近日中に実施される予定です。

 ただし、GIS-ASPはその名の通り、Application Service Provider の募集ですから、ネット検索をかけてヒットした事業者へ照会すれば、公募を行ったと同じことになります。 さらに背景地図は基本的に電子国土(1/25000基本)と、住宅地図で市場シェアの高いZ社及び若干数の他社の組み合わせです。 後は地図デザインや造り込み機能が見栄えや使い勝手を左右します。 これはGoogleMapにおいても同様のことがいえます。 また、Z社といえども電子国土や都道府県並びに市町村管内図の使用許諾を得て作成されているものです。 

 そういった地図業界固有の事情を考えれば、NSDI-PTに与えられる選択肢はそれほど多くはありません。 また表面的な地図の見栄えや料金体系だけでGIS-ASPを選択するのはとても危険なことでもあります。 日々刻々に変化する地理情報をどれだけリアルタイムにASPサービスに反映させているかという点や、画面遷移速度、ルーテイング機能なども総合的に考量しなければなりません。

 ジオコード(地理座標値)について汎用性のあるものを利用しておれば背景図の入替はそれほど困難なことではないと聞いておりますが、いったん採用すれば、その変換はやはり労多きこととなるでしょう。 そんなこんなを、外部の専門家の意見も伺いながら、この年末から年明けにかけてプロジェクトチームは行おうとしています。 

《茫猿のつぶやき》
 少なからぬ協会会員鑑定士がこのサイトに立ち寄っていただいていると承知しています。 また昨年6月以来、NSDI-PT関連記事を少なからず掲載しております。 それでもNSDI-PT関連コメントは皆無に等しい状況です。 関心がないのか、他人任せでよいとお考えなのか、無用のことと考えているのか、茫猿には判りませんが、まさか、NSDI-PTチームに任せておけばよいと、信頼されているという訳ではなかろうと思います。

 多分、プレゼンが始まったり、実際運用が開始されれば百花繚乱・百家争鳴ということになるのでしょう。 でも、その時では遅いのです。いったん出来上がったものを変えてゆくのは、無から構築するよりもエネルギーを要しますし、なにより面倒です。

 茫猿が私的ではありますが、情報公開を可能な限り行っているのは、多くの会員に判断材料や意見表明の機会を用意しようと考えるからです。 年末年始のあいだに地価公示業務の気分転換に、公示地点や事例資料地点をオンライン地図で閲覧すると云うことの意味や望まれる機能を考えてみて下さい。

 例えば地図の拡大縮小機能にしても初期値を用意するのかフリースケールとするのか、ルーテイング機能では施設ジャンルの何を外し何を入れるのか。 ジオコーデイングで詳細にカバーされないエリア(過疎地域や中山間地域)の表示はどうするのか、初期値としての表示地点数や表示範囲、検索方法等々、匿名で結構ですから、この記事にフォローコメントを書き込んでほしいと願っている歳末の茫猿です。

《追記:091226》
 茫猿が知る限りにおいて、現在WEB公開されている地価公示等MAPには次のものがあります。 同じデータと背景図を用いても随分と異なりますから、比較してみて下さい。

国土交通省 土地総合情報システム
 このサイトではH21年度より不動産の取引価格情報のさらなる充実を図るため、主要都市において土地取引価格の基本統計量(土地面積あたり単価の平均値など)の公表が開始されています。 この基本統計量が示すものは標本数の偏在が予想されるものだから、必ずしも実態を正確に反映するものではないが、グラフが示す中央値の推移は地価推移の実感とそれほど乖離するものではない。 この統計分析に加えて、地価散布図や地理的散布状況も加えて解析すれば、より実態に近い地価動向を推計することができるだろうと思われる。 正しくは統計学に造詣の深い方に教えを請わねばならないが、多量の実際データを基礎とする推移傾向分析というマクロ分析のノウハウやツールを充実することが焦眉の急だと思う。

長野県企画部 長野県の地価
長崎県地域振興部 長崎県の地価
(社)岐阜県不動産鑑定士協会 地価MAP
横浜市都市整備局 地価MAP
(財)資産評価システム研究センター 全国地価MAP
(有)ライフ・エモーション 地価公示等MAP
DB-MAP 全国地価MAP
日本住宅流通(株) 地価トレンドマップ
ITS-MAP
 他にも幾つかありますが、掲載は割愛します。
by bouen | 2009-12-26 01:00 | NSDI:地理空間情報


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