H18の新スキーム

 2006年度の新スキームについて施行地域拡大に係わる準備作業が開始されている。
今の時点では予算案も政府原案段階であるから、確定的なことは云えないが、国会の状況からすれば予算は年度内に政府原案通り成立するであろうことはほぼ確実である。
 国交省新スキーム予算はほぼ前年比同額と聞いているから、本年度に較べて次2006年度はファイルソフト作成等の初期費用が不要であることからすれば、相当な施行区域拡大が可能なのであろう。
 もちろんのこと、一時に全国的展開は予定されていないようであり、とりあえずは政令指定都市または政令指定都市を含む都道府県全域への拡大が検討されているようである。



 鑑定協会は新年早々に拡大対象地域所管の各都道府県士協会に対して「新スキーム対象地域になることを希望するか否か」の照会を開始した模様である。新スキームを希望しない士協会など無かろうと考えるのは早計である。
 なぜならば、新スキーム対象地域になれば公示評価員にとって毎月の事例調査が義務となるほかに、多額の照会票発送等郵送費の負担やUSBキー使用料の負担などが伴うのであり、諸手を挙げて大賛成とはゆかない会員も少なくなかろうと予想されるのである。

 この負担経費は結構多額である。
例えば岐阜会の場合で試算すれば、以下のとおりである。
・予想異動件数 30,000件として 
・郵送費 30,000×100円×1.50=4,500,000円
 @100円は諸費を含むものである。
 督促・回収費も含むもので、想定回収率35%
・USBキー使用料 14,112円×37名=522,144円

 異動件数が多い士協会では捻出に頭の痛い金額になるのである。
特に、新スキームに参加できるのが地価公示評価員に限定されるものであることから、事例調査役務負担と郵送費等諸費用負担を士協会の中でどのように分担するのかは都市圏大規模会においては軽からぬ問題のようである。
 大多数の会員が地価公示に参加できる士協会はともかくとして、過半数近くの会員が地価公示に参加しなくて(できなくて)、作成された事例資料の共同利用者にのみなる士協会においては、負担と便益の調整が難しいと仄聞する。

 ところが、この問題にも落とし穴が見え隠れするのである。岐阜会の負担見込額は約五百万円であり、会員一人当たりにすれば年額十万円を越えるのである。
取引件数が多いことから照会経費も多額になるであろうと予想される東京会では負担総額三千万円強と見込まれるが、会員一人当たりにすれば年額16千円にしかならない。ちなみに大阪会の見込額は31千円、愛知会では28千円と見込まれる。同時に都市圏では宅地、戸建、区分所有が多いであろう取引も地方圏では農林地が多くなり、現地調査の負担もそれだけ高くなるであろうことも忘れてはならない。

 同じ計算式で全国平均値を試算すれば、斯様になる。
 年間全国予想取引件数 170万件
 1件当たり郵送費等   100円
 回収率等歩掛け  150%
 会員数  5,900名
 会員一人当たりの年間負担額(見込み全国平均値)
 170万×100円×150%÷5,900=43,220円

 これら士協会予算編成に係わる問題以外に鑑定協会においても難問が横たわっている。それは、各士協会の拡大・参加希望と国交省予算枠との兼ね合いである。郵送費こそは士協会が負担するものであるが、データ管理を始めとする事務管理諸経費は国交省予算並びに鑑定協会独自予算に拠るものである。おきまりの財政難のなかで、どのように折り合いを付けるのかが難問である。

 特にこの問題は、鑑定協会内部における衡平という視点からすれば、新スキーム参加を希望する士協会にその機会を与えないのは著しい不衡平といえることであり、全国的展開に至る確かな日程を示すことなく軽々に鑑定協会予算を割くことは許されないからである。

 新スキームに関連して、茫猿は一昨年以来、士協会ネットワークの構築を機会ある毎に訴えてきました。しかし、以上に述べたような鑑定協会並びに各都道府県士協会の逼迫が予想される財政事情を考え合わせれば、全国一斉的なネットワーク構築事業の提案は時期尚早と考えるようになっているのである。

 多少は身勝手な理屈に聞こえるかもしれないが、茫猿の所属する岐阜会ではIP-VPN・ブロードバンドネットワークが既に稼働しており、この順調な稼働状況を変える必然性は無いとも云えるのである。各種データ資料のオンライン閲覧等提供ファイルもほぼ完成しており、所属会に限定する視点からすれば、画一的でパフォーマンスに優るとも云えないネットワークなど無用と考えるに至ったのである。

 この件はいずれ日を改めて記事にするであろうが、現行の新スキームファイルとネットワークの使い勝手を考えれば、全国一括とか一斉という縛りばかりが多くて小廻りや融通の利かない画一・中央集権的ネットワークには多くの期待を懸けない方が無難と思えるのである。
[PR]
by bouen | 2006-01-21 02:15 | 不動産鑑定


<< 街角ウォッチ 雑誌「不動産鑑定2月号」座談会記事 >>