見えてくること

 昨日の「確認しておきたいこと」記事については、何を今さらに当たり前のことをと、お思いになったことでしょう。茫猿もそう思います。ただ、当たり前のことを当たり前に、今一度確認しておくと云うことは結構大事なことではなかろうかと考えるのです。



 新スキームで扱われる「土地取引価格情報」は、法務省より土地取引に係る登記情報の提供を受け、地価公示制度の枠組みを活用して収集提供されるものであり、すべての権利は国土交通省が保有するものである。
 云うまでもないが、地価公示は国交省の所管事業であり、鑑定協会並びに不動産鑑定士は委託・委嘱を受けて当該事業に有償で関与しているのであり、そこで得られるデータは国交省に帰属する。関与した不動産鑑定士には守秘義務が課せられているのである。

『一次データの取扱』
 新スキーム関連データには一次(登記情報)から四次(公示事例)までのデータが存在することは、かねてよりこのサイトでも伝えてきたものであり、その一次~四次データの全て、なかでも一次~三次(開示情報調査事例)データが重要であると述べてきた。
 一次データの開示については未だその方向が見えないが、鑑定評価の基礎資料並びに源資料としてとても重要かつ有効な資料であるから、今後も開示される方向に向けて努力を重ねて行かねばならない大命題である。

『回収二次(PDF)データ及び三次データの取扱』
 回収された二次データはPDF化される。地価公示評価員はオンラインでPDFファイルを閲覧し、地価公示の枠組みのなかで現地調査及び官公庁調査等を行って情報開示用の三次データを作成し、オンラインで納付するのである。この一連の作業は地価公示の委嘱業務の一過程であり、そこに発生する全資料の版権は国交省に帰属するものである。

 この当たり前過ぎるくらい当たり前のことを正しく認識しておく必要がある。
ここで見落とされがちなのは、土地総合情報システムにおける調査は全不動産取引に対して行われる調査であるということである。
つまり、現時点では施行区域が限定されるが、施行区域内では悉皆調査なのである。地価公示には普通は利用されない区分所有権事例も調査対象になるし、地価公示標準地が設定されていない町村や区域における取引も調査対象になるのである。

 不動産鑑定士並びに士協会側においては、これら通常は地価公示となじまない種類の資料・データを、いかにして地価公示の枠組みのなかで利活用できる仕組みを構築できるかが問われているのである。

 具体的には、一つは地価公示とリンクする枠組みのなかで区分所有権を始め農地林地等事例に関わるデータフォーマットの構築であり利活用である。もう一つは、地価公示標準地の設けられていない地域区域におけるデータ作成並びに管理である。別の云い方をすれば、地価公示の枠組みにおける「取引事例収集並びに管理過程」を拡大し充実させて、全不動産取引に対応できる仕組みを再構築することが待たれるのである。

『何が云いたいのか!!!!』
 何が云いたいのか、タイプしている茫猿もよく判らない。というか、奇を衒わない。当たり前を当たり前に進めて行こうと云いたいのである。
H18年度の鑑定協会事業も連休明けからボチボチ始動される。新スキーム小委員会も今週は開催が予定されている。
 茫猿に云わせれば、また不毛の議論や二階から目薬みたいな議論が繰り返されるのであろう。茫猿は新スキーム対応策としてのシステム構築とかネットワーク構築という話はもうお終いにすべきであろうと考えている。
平成19年度には新スキーム調査の全国展開を目指すべきであるし、その為には取引価格情報開示という視点に加えて、地価公示の精緻化という視点も必要となるであろう。

 土地総合情報システムいわゆる「新スキーム」は宝の山である。だからこそ地価公示制度の枠組みを通じて鑑定士が参画する意味も価値もあるのである。しかし既述の通り事業主体も版権もその他諸々を含めて鑑定協会や不動産鑑定士が主体的に取り組める余地は乏しいのである。
唯一、地価公示の枠組みのなかでこそ、永年の慣行と経緯を踏まえて不動産鑑定士や士協会の自主裁量の余地があり利活用が容認されるのである。その観点からこそ、士協会における地価公示に対応するスキームを再構築すべしと云うのである。つまり、新スキームと地価公示のさらに密なリンクであり、その為の情報基盤というインフラ整備なのである。

 基本的・根底的には鑑定評価業務を安全に快適に行う為なのであるが、それでは理解を得ることができないから、このように考えるのである。
 「地価公示の精度をさらに向上させる為に、地価公示の作業を安全に快適に進めてゆく為に、地価公示作業を通じて得られる多種多様な資料を有効に速やかに低コストで汎用性が高い形式で利活用する為に、必要なファイルシステムやネットワークシステムをこの際に構築すべきであろう。」
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by bouen | 2006-05-09 22:45 | 不動産鑑定


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