H18新スキーム小委

去る5月11日に、本年度第一回の新スキーム受入体制整備の為の合同特別委員会小委員会が開催され、幾つかの事項が審議承認された。
『活動目標』
 今期の新スキーム小委の活動目標は
「新スキームを制度としてしっかり確立し、全国展開を実現すること。」にある。



 これについて多くを説明する必要はなかろうと思う。H17年度に試行開始された新スキームは東京・大阪・名古屋などの大都市圏で実施され、06.04.27には最初の価格情報が開示されたところである。H18年度試行区域は札幌、仙台、静岡、広島、福岡などの政令指定都市に拡大される。H19年度にはさらに浜松市、新潟市が政令指定都市に加わる。

 また今回の試行拡大区域の内、宮城・福岡両県は初めて全県域を試行対象とする。これは宮城・福岡両県の地価公示分科会構成が、仙台、北九州、福岡という政令都市を県域内の全分科会にて分割担当する構成であることによるものである。全国的にはもちろんのこと、都道府県内においても施行区域、非施行区域というダブルスタンダードが長く続くことは好ましくない。
 同時に新スキーム「不動産取引アンケート調査」の事業目的が、「不動産市場の透明性向上並びに取引動向情報開示」であるとともに、「地価公示価格判定の重要な資料」であることからすれば、速やかな全国展開は公示価格のさらなる精緻化という観点からは当然すぎるほど当然なことである。平成19年度には全国一斉展開されることを期待したいし、鑑定協会は実現に向けて努力してゆかねばならない。

『活動体制』
 平成18年度・新スキーム小委活動体制としては、「運営連絡会&2ワーキンググループ体制」が承認された。
運営連絡会は新スキーム試行に際して各士協会の取組を相互に支援すると共に問題点について提案することを所掌し、試行士協会代表者で構成される。
第一WGは、新スキーム制度確立のために国土交通省と折衝、協議が主な所掌であり、一次~三次データの活用指針の策定、H17試行経緯を踏まえた制度改善策の検討及び実施を所掌する。
第二WGは、現行のツール、ソフトの評価と全国展開のための改善策の検討・実施並びに一次~三次データの活用システムの検討・実施を所掌し、新スキームのIT化計画や鑑定業界のIT化のあり方を検討するとされた。

『ITについて』
 ところで第二WGに与えられたテーマ「IT化」とは何であろうか。様々な機会にIT化は語られており今や陳腐化しているとも云える用語であるが、その実態は曖昧なままに推移しているカタカナ語とも云える。
IT=Information Technology を訳せば「情報技術」である。もとよりここでいうITはそれ程広汎な意味ではなく、コンピュータやデータ通信に関する技術を総称的に表す語であると云うべきであり、アナログに対比してデジタルと置き換えてもよかろう。
 したがって、新スキーム小委第二WGのターゲットテーマである「IT化・情報化」とは、「インターネットの活用や鑑定業界内の情報共有化によって、地価公示をはじめとする業務効率を高めることにある。」と云ってもよかろうと考えられる。

 つまり、「土地総合情報システムが地価公示の枠組みを活用して行われるものである以上、その充実と拡大」は「地価公示の枠組みの充実と拡大」を目指すことに他ならず、それが何を指すかと云えば、士協会ブロードバンドネットワークを速やかに構築することから始まると云ってよいのである。
ネットワークの構築は公示作業の迅速化・円滑化、さらなるオンラインデジタル化、安全管理の充実に大きく寄与するものである。このオンラインネットワーク上において、様々な公示等関連情報ファイルを有効に安全に稼働させることが鑑定評価全般の向上に寄与するものなのであり、即ち不動産鑑定業界のIT化推進に他ならない。

 新スキームとIT化、ネットワーク化に関しては、既に
確認しておきたいこと [2006-05-09 06:28 by bouen]
見えてくること [2006-05-09 22:45 by bouen]
考えてゆきたいこと [2006-05-10 06:57 by bouen]
 等に述べたことであるから、再掲はしない。
※一連の記事はカテゴリー「新スキーム&鑑定」、あるいはタグ「新スキーム」「ネットワーク」で検索・ソートしてみて下さい。

 ところで、IT化を進めれば、地価公示をはじめとする鑑定評価業務が必ず効率化するかといえば、それは保証されるものではない。IT化の方向が誤っていたりすれば効率化のつもりが煩雑化したり、迅速化のつもりが遅延化したりする場合も多いのである。
インターネットやデジタル化について会員の習熟度もさることながら、導入に伴う活用意欲の有無とその高さが帰趨を決めるのである。またデジタルデバイドが生じないように留意することも重要であろう。
 忘れてならないことは、不動産鑑定士にとって「情報」は、基盤であり生命線である。だからこそデジタル化以前に安全管理措置が最重要であり、安全管理にとって有用かつ有効なデジタル化でありIT化でなければならないのである。
 IT化即ちデジタル・ブロードバンド・ネットワーク化は便利で安価な装置であり道具ですが、装置・道具以上でも以下でもないのであり、それを生かすのも殺すのもそれを使う不動産鑑定士次第だと云うことである。過大な期待も過小の評価もITにとっては無益であり、不動産鑑定士自身が情報産業の一員なのであり、IT化潮流の真っ只中にあるという自意識(認識・覚識)に期待したいのである。
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by bouen | 2006-05-14 03:18 | 不動産鑑定


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