今こそ、鑑定Review制度の創設

 足を洗い手を洗い耳を洗い口を漱ぐつもりであったが、先ほど鑑定協会から、業者会員宛H18.7.6付けファクシミリが送信されてきた。ファクシミリを眼にしたとたん、「セッカクダカラ」、もう一言だけ云っておこう思うに至った。



ちなみにこのファクシミリ文書はは、『6/29付け国交省土地・水資源局長文書「適正な実施について」の徹底について』を受けて発信されるものである。
 文書の結びはこう述べる。「さて、国土交通省土地・水資源局長から・・・・・・その社会的影響にも鑑み、平成18年6月5日付通知文の内容、及びこれに関連して別添文書の内容を併せて徹底するよう会員への周知方要請がありましたので、取り急ぎご通知いたします。」 

 ところで、未だ Web Site に掲載されたままになっている会長談話と、この鑑定協会会長名発信の「ファクシミリ通知」との関係がどうのこうのという類の揚げ足取りはしない。でも一般公開サイト掲載の「会長談話」との整合性はとってほしいものである。

(サイトの会長談話)
「会員各位におかれては、国土交通省の指導の遵守はもとより、証券化関連鑑定評価の水準向上及び内容の適正の確保に当たられるよう求めます。
 協会と致しましては、従来より、精度の高い統一的不動産投資DCF基準の作成に努めてきましたが、今後、証券化関連鑑定評価の水準向上及び適正確保に関し早急に特別委員会を設置して現下の課題に対処してまいりたいと考える次第です。」

 茫猿は鑑定協会に何を望むのかといえば、国交省が広く国民に向けて広報している事実に、正面から誠実に向き合ってほしいのである。
 国交省が06/6/29文書の末尾で「社団法人不動産鑑定協会に対して、別添のとおり改めて通知を発出しましたので、お知らせします。」と云っている相手先は誰なのであるかということに気付いて頂きたいのである。

 国交省が Web Site 上でお知らせしますという相手は国民である。同じく Web Site 上で鑑定協会会長が「現下の課題に対処してまいりたいと考える次第です。」と述べる相手は協会会員を意識しているものである。
しかし、国民もこの談話を読んでいるのである。

 鑑定協会に Web Site で「世間をお騒がせしたことは誠に遺憾に存じます。」などと紋切り型の陳腐な挨拶をしろと云うのではない。断じてない。
 専門職業家団体として、ことの理非曲直を誠実に具体的に述べてほしいだけである。そして糺すべきことがあれば、詳細は無理にしても方向性くらいは明示してほしいのである。

 唐突だが、最近の証券監視委員会や金融庁がJREITや私募ファンドに向ける視線の背景には、日銀の量的緩和政策やゼロ金利政策の転換があるのではなかろうか。
 さて、これまでさんざんに協会を批判してきた手前もあることだから、ここらで茫猿も一つの提案を述べておく、誰かの目に留まれば幸である。

 方向性としては、監視区域添付鑑定について、様々な問題が生じた時期が過去にあった経験を生かしてみたら如何かと思うのである。当時、国土法監視区域における取引価格を届けるに際して鑑定評価書を添付したのである。業界ではこれを添付鑑定と呼称していた。この添付鑑定が依頼者の意向におもねるケースが少なく無かったから、行政庁が問題有りと考える届出価格については行政庁自身が鑑定評価書を徴取した。これを第三鑑定と呼称したものである。

 今の時代に「証券化事案には第三鑑定を」といった時代錯誤かつ我田引水的なことを云うつもりはない。しかし、会計監査にも云われることであるが、鑑定評価も依頼者から報酬を得て依頼者に「評価主体の判断が含まれながら中立性を保持した鑑定評価書」を作成交付するのである。週刊ダイヤモンド誌記事に云うような「報酬を得るために筆を曲げるような事態」は避け得ないとまでは云わないが、起こり得るのである。

 鑑定協会はこれを避けるための措置を、本腰を入れて考えるべきである。
例えば、利害関係が無く第三者的立場に立つ鑑定士の連署を求めるとか、もう少し踏み込んで「レビュー制度」を創設するとか、業務依頼者と業務報酬支払者との関係を透明にしたり、より希薄にしたりする抜本的打開策を考える時期が到来していると考えるのである。

 費用がかからず、直ちに実行可能な措置として、「一般投資家の保護」という観点から『証券化事案に添付される鑑定評価書』は、JREITは云うに及ばず不透明感が強い私募ファンド関連についても公開を前提としたら如何であろうか。全ての添付鑑定評価書はその写しを鑑定協会に届け、鑑定協会は投資家及び一般の閲覧に供することとするのである。

 もちろん、この措置に法的な裏付けはない。でも写しを鑑定協会に届け、公開に応じた鑑定業者並びに投資法人には、『鑑定協会会長名の受理書』を交付するのと同時に、『鑑定協会公式 Web Site に事案名と鑑定事務所名を掲載』するのである。
どのような事案であれ、添付される鑑定評価書に鑑定協会・会長名の「写し受理書」が備わっているか否かは、その信用力に大きな影響を与えると思うのだが如何だろうか。検討の余地はないのであろうか。
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by bouen | 2006-07-06 14:38 | 不動産鑑定


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