強制入会化? 名称僭称?

 内閣府に規制改革・民間開放推進会議という組織がある。 この会議が最近公表した資料に「士業に関するアンケート(H18.10.11)」というものがある。士業全般に関わる意見・要望を把握するためのアンケート調査であり、H18.9.14~9.22に実施されたものである。弁護士会や税理士会など九個の士業団体が回答を寄せているのだが、そのなかに全国不動産鑑定士会という名称と日本不動産鑑定協会という名称が並んでいる。妙なことよと云って見過ごしにはできない問題である。



 そもそも「規制改革・民間開放推進会議」とは、総合規制改革会議(H13.4~H16.3)終了以降も規制改革をより一層推進するため、平成16年4月、内閣総理大臣の諮問に応じ、民間有識者13名から構成される「規制改革・民間開放推進会議」が内閣府に設置されたものであり、政令により設置期間は平成十九年三月三十一日までである。

 内閣府に設置される公的な機関が、類似名称を呼称する二つの組織からのアンケート回答を何の確認もせずに並列掲載するというのは不思議なことである。(社)日本不動産鑑定協会はこの件を承知しているのであろうか、承知していないとすれば怠慢であろうし、名称僭称を承知しながら放置するのであれば業益侵害を見過ごす不作為行為ともいえよう。

 全国不動産鑑定士会なる組織が如何なるものか茫猿は寡聞にして知らない。しかし、どのような経緯・経路を辿ったにせよ我々不動産鑑定士の統括的組織と思わせるような紛らわしい名称を用いて公的機関のアンケート調査に答えているとすれば、ゆゆしき問題である。

 全国不動産鑑定士会は4個のテーマについて回答を寄せている。
1.不動産鑑定士の強制加入化
2.不動産鑑定士または鑑定法人による不動産鑑定評価書の発行
3.専門職能家としての独立性
4.取引価格情報等事例資料の収集体制

 これに対して、鑑定協会は強制加入問題についてのみ回答している。
(中略)このため当会としては、これら不特定多数の消費者の安全と安心を確立する観点から、会員たる不動産鑑定士のさらなる倫理の高揚、品位の保持、業務の改善のための指導、連絡、監督の一層の強化を図ることが、これまで以上により重要になってくるものと考えており、これらの目的を達成するためには、当会が強制加入制へ移行する必要があるものと考える。(以下略)
 面妖なことではないか。全国不動産鑑定士会などという正体不明な組織を公文書の上で併存を許しているのも不思議ならば、鑑定協会の総論を「強制加入制度導入」にいつ統一したのであろうか。今期の役員の多くは現状を是とし、士会制度を目標とした会長候補者を否定したのではなかったか。

 茫猿は士会制度や強制加入制度導入に肯定的である。だからといって、我々会員が何も知らない内に、知らされない内に会の方針が180度転換してもかまわないと云うことにはならない。ことの経緯については、平澤氏の以下の記事抜粋に明らかである。平澤氏はかねてよりの鑑定士法制定論者であり強制加入制度推進論者である。そのせいか平澤氏は規制改革会議回答書の理事会追認をさほど問題にされていないようだが、ことはそれほど単純ではない。それは後述のその後の経緯が示しているとおりである。

 鑑定協会組織改編検討特別委員会は昨年度において「不動産鑑定士法検討専門委員会を設置しH16.12に「不動産鑑定法を資格者の強制加入を前提とした士法に移行する場合のプラス面及びマイナス面、士法改正に際してのハードル等についての報告を行い、共通認識を深めた。(第42回総会H17事業報告より)」のである。この答申を是とした理事会審議との整合性はどのように処理されたのであろうか、まことに疑問である。

 これらに関する一連の経緯について、鑑定協会副会長・平澤春樹氏は自身のメールマガジン【APPRAIZAL OPINION】で9/20からキャンペーンを張っておられるからご存じの方も多いのであろう。残念ながらこのメルマガのアーカイブが公表開示されていないからお報せする手段がないのであるが、平澤氏はブログ【APPRAIZAL OPINION】も開設してこの問題を記事にしておられる。関心のある方は直接、平澤氏のサイトをお開き下さい。
規制改革をめぐる鑑定協会の動向①(06.10.25)
規制改革をめぐる鑑定協会の動向② (06.10.26)
 
 平澤氏のメルマガ【APPRAIZAL OPINION】及びブログ【APPRAIZAL OPINION】サイト記事より一連の経緯を要約引用すると次のようなこととなる。
「H18.9.5:正副会長会」(ブログより)
 経緯を糺す文書を提出し、事実を確認し、正副会長及び専務理事の見解を求めました。その結果、鑑定協会関係者(正副会長および専務理事)は誰もこのヒアリングがあった事実すら知らなかったことが判明しました。
「H18.9.5:正副会長会・専務理事見解」(ブログより)
 鑑定協会は、強制加入(団体)制度について移行する方向性がないことについては明白であるので、国土交通省はあらためて鑑定協会に確認するまでもなかったのだと思う。
「H18.9.26:理事会」(メルマガ・06.10.10より)
 事前に正副長会、担当委員会、常務理事会などで検討されずに9月22日付けにて規制改革・民間開放推進会議に提出した鑑定協会の「強制加入制へ移行する必要がある。」との要望が9月26日開催の理事会で追認決定された。
「H18.10.12:国交省との意見交換会」(メルマガ・06.10.13より)
 平成18年10月12日鑑定協会の正副会長と国土交通省との意見交換会がもたれましたが、オフレコで行われましたので、内容をお伝えすることはできません。

【平澤氏があえてこういう書き方をされると云うことは、書きたいけれど書けない事情があるのだ察して下さいと、行間に大きく匂わせているということである。9.5の専務理事見解をどのように解釈したらよいのか、行間を読みとる大胆な推理もできそうである。】


 
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by bouen | 2006-10-26 19:47 | 不動産鑑定


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