REITと鑑定評価

 ダヴィンチ・セレクトDAオフィス投資法人に関わる鑑定評価の不備にについては、どうやら「REIT掲示板」がその実態に通じているみたいである。
多分、内部事情に詳しい人達が集って書き込んでいるからだろう。



 REIT掲示板:DAオフィス投資法人:429号書込では「私募ファンドと投資法人が同じグループというのは何とかならんのかな。」という。今回もそのケースであり、親会社の私募債対象物件を子会社が購入する際の鑑定評価というのであれば、不動産鑑定士側にも「善管注意義務」が生じるのではなかろうかというのが「その一点」。

 もう一つは、REIT掲示板:同じく430号書込である。「自動販売機とか水道光熱費の計算違いで、2物件で27億4千万円が再計算だと25億98百万円になる。で、そのうち一物件は譲渡済みで、差益をREITが取得している。こんなの実態をみれば利益相反取引ですらない。」
 事件そのものは二物件で142百万円(総額対比5.2%)の過大評価なのであるが、既にその内一棟が売却済みであり、660百万円で取得した物件を790百万円にて売却済みなのである。これが「その一点」。(証取監視委検査結果参照

 以上の書込二項を鑑定評価の立場からどのように考えたらよいのであろうか、というのがポイントなのであろう。
つまり、利害を共有する当事者間の売買に当たって依頼される鑑定評価と云うものをどのように考えるかということである。いわば、縁故者間売買に際して、当該縁故者から提示された基礎資料を鵜呑みにするなと云うことなのである。
 この取引が縁故者間で終結するのであれば、さほど問題は生じないであろうが、鑑定評価額を基礎とする証券化という問題は「縁故者売買に含まれる(潜在する)問題点」を広く証券市場に拡散してしまうのである。

 一般の取引であれば、買い主は安価を望み、売り主は高価を望むのが通例である。しかし縁故者間取引はそうではない、損失相殺取引もあるだろうし、利益相殺取引もあるだろうし、救済取引もあるだろう。それらの取引が当事者間で完全に終結するのであれば問題が生じないが、一般の縁故者間取引でも課税上の問題や、企業簿価の問題や、時に背任取引の問題が生じてくる。ましてや「証券化市場においておや」ということなのである。

 以上が、不動産鑑定士の姿勢が試されている点とすれば、次項はデューデリ・リポートの取扱である。つまり専門職業家としてはデューデリ・リポートを鵜呑みにしないと云うことであり、特に依頼者から提供される資料やリポートについては「眼光紙背に徹する」ことが求められるのであろう。
 ここで専門職業家であるところの不動産鑑定士に求められる善管注意義務とは如何なる範囲まで求められるのであろうかが問われている。端的に言えば不動産鑑定士の或いは不動産鑑定機関の技術能力が問われていると云えようか。

 地価公示情報漏洩事件があり、デューデリ・リポートと投資不動産鑑定評価問題があり、新スキーム全国展開問題があるというこの時期、おりしも二年に一度の鑑定協会・会長選挙の時期である。火中の栗を拾って頂ける勇気と指導力とカリスマ性のある士(サムライ)が現れることを期待するのである。既に水面下では様々な下馬評が盛んであるが、将に斬馬刀の持ち主が待たれている。
 同時に副会長選挙も今回から制度変更である。選挙区制が敷かれることとなり、東日本選挙区1名、西日本選挙区1名、東京選挙区1名の三名が選挙で選ばれる。定款の定めでは他に会長指名副会長2名があるが、選挙を経ていない副会長ではその発言力に格差が生じるのは云うまでもないことであろう。

・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 ところで、DAオフィス投資法人に関わる「資産取得及び資産譲渡に関するお知らせ」を読んでいたら、以下のようなケースに遭遇した。

(a)価格時点:H18.09.30、物件名称:ダヴィンチ御成門、S48築
鑑定評価額:13,860百万円 
直接法収益価格:14,070百万円
DCF法収益価格:13,640百万円(割引率4.6%)
積算価格:11,600百万円(土地比率88.9%)(DCF価格対比85%)

(b)価格時点:H18.08.01、物件名称:ビリーブ大森、H4築
鑑定評価額:3,160百万円 
直接法収益価格:3,320百万円
DCF法収益価格:3,160百万円(割引率5.1%)
積算価格:2,190百万円(土地比率57.6%)(DCF価格対比69%)

(c)価格時点:H18.08.31、物件名称:サンライン第七ビル、S62築
鑑定評価額:2,680百万円 
直接法収益価格:2,780百万円
DCF法収益価格:2,680百万円(割引率4.5%)
積算価格:3,470百万円(土地比率82.7%)(DCF価格対比129.5%)
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by bouen | 2007-02-18 15:26 | 不動産鑑定


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