始まった役員選挙

 二年に一度の不動産鑑定協会役員選挙が告示された。会長、副会長並びに理事の選挙である。3/28頃には投票用紙や選挙公報などが手元に届くのであろう。一足先に行われた東京士協会会長選挙は緒方瑞穂氏の当選で決着が付いたが、鑑定協会役員選挙はどのような決着をみるのであろうか。



 会長、副会長共に様々な下馬評が聞こえてくるが、選挙というものは候補者が確定するまで判らないし、開票が終了するまで判らないものであろう。

 ところで、今回の選挙から大きく変わったのは副会長の選出方法である。
従来は全国区定数5名で選出されていたものが、東日本、東京、西日本の三選挙区から各定数1名で選出されることになった。
一見してたいした変化には見えないかもしれないが、実は大きな変化なのである。つまり全国一本の大選挙区制から小選挙区制に変わったのである。

 従来型の選挙であれば5位以内に滑り込めば副会長であるが、今回からは各選挙区で1位にならなければ当選できない訳で、様変わりといえるのである。このような選出方法に変わった理由は、「会長とソリの合わない副会長は会務運営上困る。」という意向が強く働いたと聞いている。

 少し選挙事情に明るい者ならばすぐに判ることであるが、副会長定数5名中5位に滑り込むことは決して不可能というほどのことではない。特に昨今のように役員立候補の引き受け手が見あたらなくなった状況では尚更である。
 しかし2000名前後の選挙人数を抱える各選挙区で一位になるというのは大変なことであり、それなりの知名度や組織や基礎票がなければなかなかに叶うものではない。
 また別の観点からは副会長という上席役員に多様性があるというのはさほどに悪いこととも思えない。大選挙区選挙結果は少なからぬ会員の意向を反映するものといえるのである。とはいっても多様性を維持してゆくと云うことは会長にとっては、時にまだるっこしく、時にうるさいことでもあろうから、一糸乱れず会長方針に従ってほしいと考えるだろうことも理解できないわけではない。自民党の中川幹事長だって、閣僚に対して総理への忠誠を求めているのだから鑑定協会だってそうありたいと考えることもあり得るわけだ。

 鑑定協会の役員会は定款に定める理事会が唯一の会議であるが、現実には理事会はセレモニー化しており、口の悪い会員に云わせれば「ガス抜き会議」などと云われている。日常業務は正副会長会議(随時開催)と常務理事会(月例開催、理事会は二月に一回)で執行方針が審議されるし、理事会や総会への上程議案も正副会長会議や常務理事会で審議され遂行されてゆくのである。

 この役員会構成が実は問題なのである。常務理事は定款で10名以内と定められているが、この選任は理事会の議を経るとはいうものの会長指名である。副会長三名は選挙を経るとはいうものの小選挙区選出であり多様性よりは全体整合性を指向するであろうと考えられる。さらに定款によれば会長は副会長2名を理事の内から指名できるのである。
 つまり会長を除く常務理事会(副会長5名+常務理事10名)構成員の内、12名は会長指名であり、残る3名にも多様性を多くは期待できないのである。

 このことを会務運営上において意志決定が速く統一性が保たれると歓迎するか、多様性や柔軟性や少数意見の存在などを否定もしくは後退するものとして懸念を示すかは、各会員の見識に負うところが大であろうと考える。

 ただ、今回の選挙は大きな節目に位置する選挙と思われてならないのである。新スキームの全国展開問題、地価公示にネットワークの採用問題、証券化不動産鑑定実務指針、鑑定評価の委託契約が随意契約から競争入札等契約への移行問題等々、鑑定評価を取り巻く様々な局面において大きな転換を示している節目であろうと考えられる。
このような課題山積する歴史的転換点に鑑定協会の舵を取るということは容易なことではなく、その任にあたる方々の労苦の重さを考えれば、意志決定が容易で速やかに機能する組織が好ましいやもしれぬと茫猿は独り頷くのである。
『追記』
 過去の選挙では「公開質問」などと、些か身の程をわきまえないことも致して参りましたが、今回はインターネット利用に係わる制度変更もあることから何も致しません。
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by bouen | 2007-03-06 09:22 | 不動産鑑定


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