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牛ミンチ偽装

 牛ミンチ偽装「ミートホープ」社事件は幾つかのことを教えてくれる。
一つは事件そのものが、どうやらありふれた事象であり、今回の一件は氷山の一角のようだと云うこと。



 例えば、少し古いがこんなデータがある。農民という由緒正しい新聞を基礎とするサイトから「産地偽装」で検索すると2002年に雪印事件を契機として僅か参ヶ月間の偽装表示事件一覧を読むことができる。当時も今も何も変わらず恒常的に様々な場所で犯罪行為が行われているだろうと推測させるに十分な資料だ。 食品の産地偽装、不正表示一覧 (2002年3月25日第532号)
最近のiNetには、その種の書き込みも多い。「浜の真砂と何やらは」ということである。「産地偽装」、「偽装表示」、「食品 不正競争」などで検索すれば多くの資料やら告発が見られる。

 一つは、我々自身があり得るだろうなと慣れっこになりつつある怖さである。考えてみれば世界中から食品を取り寄せているのだから、アフリカ沖のタコやタイが、東南アジアや中国のウナギやエビが、どのように捕獲され養殖され茹でられ焼かれ冷凍されて日本に届いているのか、だれもトレースしていないからわかりはしないのである。地球上では何十億もの人々が一ヶ月十ドル以下で生活するというなか、飽食日本のおぞましい食生活のなれの果てというべきだろうか。

 一つは食品に関わること、健康に関わることなのに何故に「不正競争防止法違反」程度でおさまるのだろうかが判らない。少なくとも詐欺罪適用とか、傷害未遂罪適用にならないのだろうか。恒常的に腐敗寸前の肉や屑肉や得体の知れない肉を混ぜてミンチにしていたというからには確信犯だし、学校給食に納めていたと云うから給食児童の健康阻害のおそれも認識していただろう。

 こういった銭ゲバを懲らしめるには、厳罰をもって処すると同時に、流通者や販売者責任を問う必要がある。不正ミンチ肉を取引購入してコロッケやハンバーグを製造販売していた業者は少なくともプロである。不正ミンチの味、匂い、ツヤ、テリ、触感など判らないのが不思議である。判っていて見過ごしたか共犯関係にあったと推理するのが当然だろう。

 コロッケになってパン粉をまぶされたら判らない。だから冷凍食品を専門に調理販売するセントラルキッチン系のナショナルチェーン系レストラン、いわゆるファミレスが信用できないのである。外食とか中食の怖さが此処にある。

 改めて、「食は人なり」と思い知るのである。「食材を作る人」、「食材を加工調理する人」、「食を商う人」全てを含めて食は人なりと思うのである。
何よりも食べる人自身の食べ方自体が、人そのものなのである。食事マナーとか作法とか食の好みとか偏りなどと云うことではない。否応なしに好むと好まざるとに関わらず食物連鎖の頂点に立たざるを得なくなったホモサピエンスの悲哀をどう受け止めるかと云うことである。

 人の顔の見える範囲の食材を利用しよう。調理加工する人の見える店で食そう。販売する人の顔が見える店で購おうということである。今やそれらの全てから遠くなり見えなくなっているのである。誰が獲ったか栽培したか知らず、誰が輸送したか知らず、誰が加工したか知らず、誰が販売したか知らず、口に入れているのである。いつの間にやら、我々自身がブロイラー化され、肥育牛、肥育豚化されているのである。鏡の中の己自身を見つめると少しは見えてくるかもしれない。

 マクドナルド化というのはこういった側面も云うのであり、その弊害を云うのである。それにしても偽装表示企業の名前がミートホープ社というのはヨシモト以上である。肉骨粉問題も2100年的恐ろしさを味わったが、肉希望問題はもっと身近に溢れている、忍び寄っている恐怖を感じる。
銭ゲバという魔物、化け物を我々自身が内心に飼っているから、このような事件が起きるのであろう。そうなのである。我々自身の「安さ追求症候群、手間省き症候群、伝統食忌避症候群」などという「鵺(ヌエ)」が巷に潜む鵺を呼び寄せるのであろうと思う。

 だからジミン党・牛ミン党・ミンシュ党・ミン痴党などという笑えないダジャレが飛び交うのである。こういった事柄の対極に位置するのが、スローフードとかスローライフとかロハスとか地産地消とかいうことなのであろう。
by bouen | 2007-06-24 17:21 | 茫猿の吠える日々


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