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七月一日

 今日は7月1日、今日から今年も残り半分である。年々の暑さがこたえるのは地球暑熱化のせいなのか【温暖化などという生ぬるい表現は事態を見誤らせる。暑熱化もしくは熱帯化と表現すべきである。】、ただ加齢により暑熱耐久力が劣化しただけなのか。正味の暑さはあと一ヶ月、軒端に秋が感じられるようになる頃には体も暑さに慣れている。
 また、今日は改正不動産鑑定評価基準(証券化)の施行日でもある。



 暑中お見舞い的な時候の挨拶はともかくとして、今月は参議院選挙の月である。小泉氏の郵政民営化一本槍戦術で目眩ましを喰らわされた結果、2005年衆議院選挙で自民党は300を超える議席を獲得した。自民党自身が驚く大勝であった。連立を組む公明党の31議席とあわせて、衆議院自公現有議席は336議席(70%)を占める圧倒的多数を擁している。
 民主主義は原則として多数決である。今月の参議院選挙で自公に勝たせたら何が始まるかたやすく想像できる。

 05/09から1年10ヶ月経過した衆議院の残任期は参議院選挙後2年余を残しているのである。そこへ参議院の安定多数が加われば、集団的自衛権行使の容認、憲法改正の発議や道州制の実施、国民総背番号制その他何でもあり状態になってしまうであろう。二世三世世襲議員が増えて日和見傾向がますます強くなった自民党の多くの議員に加えて、民主党には自民党以上にタカ派であったり日和見であったりする議員が多く存在する。松下政経塾出身というのも何となく不透明なのである。

 二年間では何もできないだろうと考えるのは甘いのである。二年もあれば十分なのであろう、既に05/09以後の二年間でおおよその準備は整っていると考えるべきであろう。後は参議院選挙で安定多数を獲得するだけである。自公が参議院で安定多数を獲得した瞬間に民主党は内紛が始まり四分五裂するであろう。 さらに二年間も無力な冷や飯生活に耐えられる民主党日和見派議員は少なかろうと思われるし、2/3を得るためにの「悪魔の甘い囁き」が開始されるだろう。

まさに、七月参議院選挙は「戦後レジュームに墓標を」建てるか、「戦後レジュームに新しい命を」吹き込むかの分かれ目となる選挙であろう。

 延長終盤国会で慣例を無視し、ろくな審議も無しに遮二無二幾つかの法案を成立させたのは、年金解決見込と公務員天降り阻止を旗印に選挙を戦おうとする選挙戦術以外の何ものでもない。そしてこのような国会運営を唯々諾々と許した河野洋平衆議院議長と扇千景参議院議長の、三権の長と云うにはあまりの軽さが嘆かわしいのである。

 何が云いたいか。
茫猿は1944/02/21生まれである。生まれとしては戦前派である。その茫猿自身と子供達が戦争に巻き込まれずに60年余を過ごせたのは、幾つかのワケがあるだろうが最も大きいのは憲法九条に守られたからと考えている。この『鄙からの発信』のような発言を自由にできるのも現行憲法に守られているからと思う。

第2章 戦争の放棄 

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


 現憲法は第三章で我々国民に、何を義務と定め、何を権利と定めているのかを改めて理解すべきである。同時に自民党が公開している改訂憲法草案では、何を義務とし何を権利とし、何を個別法に委ねているかを知るべきである。個別法に委ねていると云うことは折々の多数派により風向きが変わると云うことである。

 今回の選挙で投票すべき方向は明らかである。「自公」を選択してはならないのである。任期を二年余も残す自公多数派の横暴に歯止めを掛けるには参議院での与野党逆転しかないのである。参議院の与野党逆転は政治の停滞を招くと心配する人がいるが、この種の心配は「タメニスル」心配であろう。日本人の良識と芯の強さを信じていたいものである。大連立を招く可能性も云えるだろうが、それはそれで政界に本当の意味で、保守主義と自由主義の違いを明らかにするきっかけとなるであろうから、直ちに拙いこととは云えないであろう。
『今は先ず、絶対多数にアグラをかいた傲慢に歯止めを掛けることである。』

第3章 国民の権利及び義務

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。 

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。 
第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。


 折しも、長崎出身の防衛大臣が「原爆投下しようがない。」と講演したそうである。原爆投下地の長崎出身で、しかも戦史戦略に明るいはずの防衛大臣がである。「久間防衛相が原爆しょうがない発言
 懸命に陳謝し取り消そうとしているようだが、国政の要職に在る者として自らの発言の重さを自覚していないと云うことは、自らの職責の重さも自覚していないのではなかろうか。

 鈴木宗男氏が「ムネオ日記」で、安倍総理は本当に戦後レジュームからの脱却を云うので在れば、衆参同日選挙に打って出るべきだと云っている。一理あると思うのである。安倍総理はまだ総選挙の洗礼を受けていないのである。今回の参議院選挙が事実上第一回の総理として迎える国政選挙ということになるが、無責任にも選挙後一年で辞めてしまった小泉総理も問題だがその後継者として政権禅譲を受けて多数派を御守りしてゆこうというのも姑息である。我々は総理安倍氏を信任した記憶は無いのだある。
by bouen | 2007-07-01 04:27 | 茫猿の吠える日々


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