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本会、そして無関心

 先日の記事で、協会における理事会や委員会など公的な場で鑑定協会の組織論を語る時に、多くの会員が使用する用語ではあるが茫猿の嫌いな用語に「本会」という用語があると書いた。このことについて何故という疑問を頂いたので敷衍しておきます。



 多くの鑑定士は「本会」という用語が、日不動産鑑定協の略称であるかのように受け取っているが、「本会」という呼称は「ある会」を代表して第三者に対して「私どもの会」といった意味で自称する場合に使用する用語・呼称である。本人といった意味と同様であろう。
 ところが、往々にして「本会」は、「本島」、「本部」、「本館」、「本庁」といった意味で使われている。即ち、「本 → 支」であり、「本 → 末」なのである。背景に上下関係を滲ませるのである。鑑定協会の歴史を辿れば発足当時は全国単一会であり、東京、近畿、中部などの地域支部が設置されたのは設立後数年を経てからである。さらに都道府県単位の部会が組織されたのは、設立後さらに十数年を経てからである。
 当時は、全国会を本会と呼称し、傘下に支部(後に地域会に改称)があり、さらにその下部組織として府県部会が存在した。東京会と北海道会は地域会であり部会が設置された歴史は持たない。だから鑑定協会の役員や事務局が、就中、都市圏出身の役員が鑑定協会を本会と呼称するには抵抗がある。

 歴史的背景として本末、上下関係が存在し、意識無意識にかかわらずその歴史的経緯を滲ませた呼称が使用されることに抵抗感を感じるのである。今や、単位会、或いは単位社団等に対比して全国会、地域会、地域連絡会でよいのではなかろうか。名は体を表わすと云うし、名称・呼称から意識の変換を図ってゆくという考え方もある。士協会に対して本会と呼称されることに抵抗感が無いということは、無意識に上下関係を受け入れていることになるし、何よりも単位会の自主・自尊・自律を阻害しかねない用語用法であると考えるからである。茫猿にとって本会とは「(社)岐阜県不動産鑑定士協会」なのであり、(社)日本不動産鑑定協会では有り得ないのである。(社)日本不動産鑑定協会は「鑑定協会」なのである。

 多くの会員諸氏は多分こう言うであろう。「何を細かいことに目くじら立てて、重箱の隅をつついて何の益があるのだ。もう少しおおらかになれないのか、あまりに偏狭過ぎる。」
私もそう思わない訳ではない。でも、この辺りから変えてゆかないとどうにも為らないとも思えるのである。士協会は一般的に社団法人格を有する独立組織である。規模の大小はある、所掌エリアの大小もある。でも決して下部組織ではない。士協会は鑑定協会の団体会員ではあるが、強制加入の存在ではないし下部組織に位置づけられる存在でもない。このところを正しく認識していない会員の多さがとても気になるのである。何よりも士協会は自主・自尊・自律を旨とする組織である。いかに小なりといえども誇り高き不動産鑑定士の単位自治組織である。その程度の気概を持たずして何の公益法人化かと思うのである。

 鑑定協会:定款:第2章 会員及び会費

(種別及び資格)
第5条 本会の会員は、団体会員、正会員、特別会員及び名誉会員とする。
2 団体会員とは、不動産鑑定士、不動産鑑定士補及び不動産鑑定業者等を構成員として、都道府県を単位に設立され不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号) 第52条の規定に基づいて届出を行った社団のうち、本会が適当と認めたものをいう。



 マザーテレサが述べた有名な言葉に「愛の対極にある言葉は憎しみではなく、 無関心である」という表現がある。愛の反対語は憎しみでなく、無関心なのである。平和の反対語は戦争でなく、無関心なのである。「無気力、無感動、無関心」を称して三無というそうであるが、無関心という対応は無視にも通じるものであり、鑑定業界における組織論を語るときにも避けて通れないのである。多くの会員が士協会や鑑定協会の日々の有り様に関心を持つことから業界組織の進歩や発展があるのであり、会員の関心が組織の力となるのである。関心こそが求心力となり、組織の力となるのである。

 例えば、何が起きたのか?何があったのか?

鑑定協会の公開されている議事録のうち、07/03理事会議事録のみが未だ非公開なのである。既に07/05理事会議事録は公開されているというのに不思議である。他にも多くの委員会で議事録が公開されていない。公開されても随分と長い時間を経過した後なのである。今の時代、委員会が開催されて一週間後くらいには事務局により議事録が作成され、メール持ち回り、もしくはファクシミリ持ち回りで議事録署名を集めることは容易であろう。だから理事会や委員会開催後一ヶ月以内に議事録を公開することは当然のことと思われるが、未だ実施されない。常務理事会や正副会長会については、何が話題になったかすら開示されない秘密主義が未だに続いている。

 因みに07/07開催の委員会議事録が開示されているのが、「証券化鑑定評価委員会:07/07/20開催」、「法務鑑定委員会:07/07/30開催」である。情報安全活用委員会、及び情報管理・法令遵守特別委員会に至っては1件の議事録も開示されていない。情報活用とか情報管理の名に恥じるデスクローズ振りなのである。

※この後に07/03/20開催第254理事会の議事録が開示された。(07/08/21確認)前期企画委員会の公益法人制度改革関連対応方針と連合会体制移行方針はいずれも理事会にて承認されたと議事録に記載されている。

(7)「公益法人制度改革への対応方針(第一次報告)」について
士協会・会員向けにとりまとめられた公益法人制度改革の概要及び当該改革への鑑定協会としての対応方針(第一次報告)を承認した。

(8)「鑑定協会の連合会体制への移行に係る基本方針」について
鑑定協会の連合会体制への移行に向けた当該基本方針を承認した。

by bouen | 2007-08-08 05:40 | 不動産鑑定


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