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旧書式に囚われていた

 先号記事「某大兄からの伝言」に記したように、岐阜市内で今週末(07.10.26)に全国から有識者にお集まり頂いて、あるシンポジウムを開催する。テーマは「REA-NETと地価公示オンライン化」であり、携帯電話による「デジタル選定調書作成、事例カード二枚目デジタル作成」であり、「新スキームデータの有効活用と将来のニュー・ビジネス開拓」と、ある種盛りだくさんである。といって、全てのテーマは連鎖相関するものであり、統一的に検討するのが望ましいと考えられるものである。



 このシンポジウムを提唱しMCを予定している茫猿は、最近はこのシンポジウムのことばかり考えている。特に地価公示選定調書・イメージデータのデジタル化、同じく地価公示事例カード・イメージデータのデジタル化について考え続けている。そのあたりは、『鄙からの発信』「Rea-Net 構築 アーカイブ」や「汎不動産鑑定 アーカイブ」でご覧頂きたいのであるが、今朝ほど茫猿が囚われていたある発想に気付いた。

 それはこういうことである。日頃茫猿はデジタル化(コンピュータ化)においては従来のアナログ的発想は捨てよと説いている、『鄙からの発信』でも折々にこの種の記事を掲載している。にも関わらず茫猿自身がアナログ的というか従来型書式・型式発想に囚われていたのである。
こういうことである。選定調書も事例カードも同じことであるが、汎用性という意味で此処では事例カードを中心に考えてみる。事例カード・イメージデータのデジタル化、即ち所在位置図と地形図のデジタル化を考えるに際して、茫猿は現在採用されている書式をデジタル化することに囚われていたのである。

【試行的に作成した二枚目デジタルファイルを開く。ファイルはPDFに変換済みです。】 このレイアウトは地価公示仕様書に定められる事例カード二枚目・所在位置図と地形図掲載書式である。茫猿はこのレイアウトを維持したままでのイメージデータ・デジタル化を考え続けていたのである。(念のために注書しておきますが、守秘義務との関係からこの例示位置図と地形図は無関係なデータです。) 愚かと云えばあまりにも愚かであった。

 考えてもみよう。地価公示仕様書に示される書式は、アナログ作成を必然とする時代の書式なのである。パソコンも、スキャナーも、インターネットも、REA-NETも何もない時代に作られた仕様書であり書式である。地図をコピーして必要部分を切り取り、公図等をコピーして必要部分を切り取り、それぞれの切り取り図面に所要の情報(位置や該当地を示すマークなど)を書き込んだ上で、事例カード二枚目用紙に貼り付けていたのである。それぞれの情報をB5またはA4サイズで作成提出することも考えられない訳ではなかったろうが、提出用紙量が多くなることと、何より管理の手間が膨大になることを避けるためにA4一枚に圧縮することを選ばれたものであろう。昔、事例カードがB4サイズであった時代には1枚の用紙にテキスト属性データと所在位置図を掲載していたものである。現に相続税標準地評価ではテキスト属性データとイメージデータが、今も一枚の用紙に記載しての提出が仕様とされている。

 つまり、地価公示事例カード二枚目書式は、用紙の使用量を減じるために、管理の手間を省くために採用された書式仕様なのである。情報の量に重点をおけば、一万分の一或いは五千分の一・A4サイズの位置図、千分の一或いは五百分の一・A4サイズの地形図が好ましいのは云うまでもない。わざわざ小さく切り張りして情報量を減じる必要など何もないのである。

 さて、デジタル化とはなんであろうか。デジタル化は先ず紙資料の追放である。管理保存の簡潔化であり迅速化であり、同時にソース(情報源資料)の多面的利用の実現にある。ここでは資料サイズをA4に拘ることすらナンセンスなのである。一般に法務局において複写入手する公図等地形図のサイズはA3である。だからスキャナー設備が整うかデジタルカメラを利用すれば、この入手した公図をA3サイズのままでデジタル化(TIF、JPG等)が可能なのである。位置図についてはジオコード等の緯度経度情報を利用するのであれば、地図サイズは無限大であり、地図縮尺は自由自在なのである。WEBを利用して作成する事例カード・デジタル化とはそういうことなのであり、ソースの多面的利用の実現という観点からもソースの加工は最小限に留められるべきである。何よりも、如何にパソコン上とはいえ資料の切り貼り(コピー&ペースト)作業を無くすことにより、地価公示作業の省力化に寄与するのである。
 必要に応じて、テキストデータ・コードからリンクして地図を呼び出してチェックし、地形図を呼び出してチェックすれば事足りるし、呼び出す情報量は圧倒的に多くなるのである。

 これを実現するに唯一の障害は、「地価公示仕様書・事例カード書式」である。でも考えてみれば、この障害は簡単に取り払える類のものであろう。なぜならば国交省をはじめとする事例カード利用者にとっても、ビッグサイズのデジタル情報は好ましいことであると考えるからである。パソコン・モニター上でテキストデータファイルから必要に応じてワンクリックで所在位置図が展開し、ワンクリックでA4orA3地形図が展開する環境が好ましくないはずはないと考える。成果物納品に際しては膨大な量のイメージデータ量であるが、DVDを利用すれば問題はないであろう。または業務委託者自身がREA-NETに接続すれば、この障害は解決するのである。

 日本不動産鑑定協会会長・神戸冨吉様、同副会長兼地価調査委員長・小川隆文様、如何なものでしょうか。本質的デジタル化進展や資料の多面的利用実現そして評価員の作業量軽減のために、「地価公示仕様書・事例カード二枚目書式」のデジタル化時代に合わせた改訂をご検討願えないでしょうか。
by bouen | 2007-10-21 23:17 | REA-NET構築


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