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セロトニン?

 セロトニンという脳内物質が存在するそうである。脳の基幹部に分布してあり、人の心と体を調整する機能を持つとされている。 人はどのような原因でキレるのか。先日たまたま聞いていたNHKラジオで、脳神経に詳しい有田東邦大学医学部教授は「心と体を調整する機能を持つとされる脳内の物質『セロトニン』の欠乏が原因」という。



 セロトニンが欠けると、それを伝達物質として使う「セロトニン神経」が弱まり、行動を制御する「前頭前野」の機能が低下する。このため、取るに足りないことをきっかけにした他人への衝動的な攻撃を抑制できない状況に陥る。またセロトニンは神経伝達物質であるドーパミン(喜び、快楽)、ノルアドレナリン(恐れ、驚き)などの情報をコントロールし、精神を安定させる作用があるとも言われる。

 セロトニンが少なくなるのはなぜか。有田教授は「90年代以降のパソコンの普及や、24時間営業のコンビニエンスストアなどが広まったことで、完ぺきに昼夜逆転できるようになった。昼夜逆転の生活を長く続けると、脳内のセロトニンが分泌されず、同神経が機能低下し、心と体を制御できなくなる」と指摘する。 セロトニンは精神の安定に必要な脳内物質だそうで、セロトニンを増やすには、歩行、自転車、カラオケ、太陽の光を浴びる、大きな声で腹から笑う、泣く、ゴルフのスウィングなど体幹を使った運動、朝食をとる、硬めのものを食べる、ガムをかむ、などの行為が大切だともいう。セロトニンの摂取にはバナナが佳いともいわれているそうである。

 ただし、これらの話はいささか眉唾なのでもある。どういうことかと云えば、「現在の医学技術で脳内セロトニン濃度を計測することは不可能だから、血中濃度や尿検査結果は傍証にしか過ぎず、脳内セロトニンは計測できていないのである。もし脳内セロトニン濃度の計測技術が実現すれば、それは大発見なのだそうである。だから、散歩とか笑うとか、話す、陽の光を浴びるといった常識的に健康に良さそうな事柄は信じてもよいけれど、セロトニン増強食品とかセロトニン・サプリメントの類は眉唾なのである。

 一番信憑性が高そうなのは、「生きる呼吸つまり無意識の吸う呼吸」ではなくて、「吐く呼吸、すなわち意識的呼吸」を心がけると佳いという説である。その吐く呼吸とはスポーツの腹式呼吸であり、古来から行われている「禅の臍下丹田に意識をおく呼吸法」だそうである。禅を極めればキレなくなるとは、よく判る話なのである。 『只管打座』にあれば「キレナイ」のである。

 セロトニン・サプリメントの類は昔流行した紅茶キノコ健康法や納豆減量法と似た類の話であり、これらとよく似た話に、加齢者は血液がドロドロになるから、寝る前と寝起きにコップ一杯の水を飲むと佳いという説がある。水分をとれば血液がサラサラになり脳梗塞の予防にもなるというのである。この手の話を真に受けて水分を大量にとる人がいる。なかには名水百選のペットボトルを大量に購入して、日がな飲み続ける人もいるそうである。ところが水分摂取には落とし穴があり、加齢者は往々にして前立腺肥大症などの持病があることから、水分摂取は頻尿を招くのである。若いときと違うから頻尿や尿漏れは粗相を引き起こすことにもなり、水分の過剰摂取は意味が無いということになる。過ぎたるは及ばざるがごとしということなのである。

 キレナイということに関して、先日も紹介した「秋月悌次郎」は、こんな習慣を自らに課していたそうである。「西門豹の性は急なり。ゆえに韋(イ)を佩(オ)びて、もって己を緩くす。」(韓非子)  西門豹という人物は短気な性格であった。そこで韋(なめし革の紐)を、柔らかく緩やかな物の象徴として身につけ、のびやかな性格になるよう努めたということである。
 秋月悌次郎は自らを西門豹になぞらえて、つねに韋を懐中に入れておき、激怒しそうになるとその韋を撫でて心を静める習慣をつけたというのである。さて、茫猿は懐中に何をしのばせようか。
『只管打座』
ただひたすらに座禅することをいう。 「只管」は、ただひたすら。「打座」は、仏教で、座禅すること。

by bouen | 2008-03-15 09:40 | 只管打座の日々


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