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チキンレース開始

 日本中が自民党総裁選挙祭りと解散風に浮かれている間にも、汚染米被害は拡大し、輸入食品の安全性は危険水域に達し、行方不明年金問題も高齢者医療問題も消費税率アップも蚊帳の外におかれている。その間にも世界経済ではチキンレースが深刻さを増している。



 詳しくは『田中宇:国際ニュース解説』を読んで欲しいが、米国政府は巨大金融機関支援策として公的資金出動を開始している。その支援原資は米国債である。 既に多額の米国債を保有している日本や中国にさらに買い増しして欲しいと言っているわけだ。今は米国債の背後に米国軍事力とウオール街があると信じているから(信じたフリをしているから)、米国債は消化されているが、天文学的数字に膨れあがりつつある米国赤字やイラク戦争の推移如何では、米国債の投げ売りが始まらないとも限らない。 日本国債は国内で消化されているから、国全体としてみれば右のポケットと左のポケットの出し入れであるが、米国債はそうはゆかない。

 どこかが買い渋れば、どこかが売りに出せば、下落どころか暴落が始まるだろう。世界恐慌を避けるために世界各国が買い支えるとすれば、史上最大のモラルハザードが起きているとも言えるのであろう。
 ドル暴落のあとに何が来るのであろうか、円はドルに対して高くユーロに対して安いという傾向から、どちらに向かうのであろうか。鄙の堂守などにはとても理解できない話であるが、グローバル化の欺瞞、金融デリバテイブやレバレッジの欺瞞が噴き出していると云えるのであろう。リアル経済に根っこを持たない「バーチャル・エコノミック夏の夜の夢」は、年末にかけて雲散霧消するのであろう。

 遠い世界経済のこととタカをくくっている内に、国民金融資産1500兆円は郵貯や農協や生保から米国債に向かい、そして下落霧消するというシナリオが現実のものとなりつつあるのだろうか。  日中友好に舵をきった田中角栄が潰され、アジア・ファンドを構想した宮沢喜一が潰されたのも、イラク給油支援が頓挫して安倍総理や福田総理が辞任したのも、そういった視点から見直すと背後の闇がほのかに見えてくるのである。 「米国との同盟関係」などと寝言を言いながら下駄の雪のようにくっついてゆくのが正しいのかどうか、年末までには判るだろう。

 汚染米の問題は突き詰めれば食糧自給率問題に帰結するのであろうし、格差問題や高齢者医療問題は日本自身の自主と自律に帰結するのであろう。 拡大を指向し、ひたすらにGNP増加を指向する思考方法から脱却すべきであろう。 企業経営でも売上増加やシェア拡大よりも利益率を重視すべきと言われて久しい。  日本という国の経営もひたすらに拡大増強を指向しナンバーワンを目指す路線から、オンリーワンを目指す路線に転換すべきであろうと思われるのである。

『追伸』
 福岡の小学生殺害事件は、発生当初からの報道に疑問があったが、懸念されたようにまたもや親の子殺しである。多くの多様な社会事象を一括りにするのは雑駁な議論建てであることは承知の上で、思われることがある。

 戦後の廃墟の中で団塊世代の親たちがひたすら物質的豊かさを追い求め、それを引き継いだ団塊世代(その周辺世代も含めて)が世界に稀な高度成長を実現させた。 そこでは核家族化が進行し、単一世代の団地住まいが蔓延し、地域社会が崩壊していった。 鄙の疲弊も限界集落の出現もその当然の帰結なのであろう。その果てが団塊ジュニアと称される孫世代の「砂の民化」なのではなかろうか。

 追い求めた高度成長は今や夢まぼろしとなり、帰るべきふる里はなく、拠るべき未来像は見つからず、ひたすら彷徨う心を持てあましている。 彼らがそんな風に見えてならないのである。 祖父母が貧苦から立ち上がり、子供世代が引き継いで、孫世代は「売り家」と唐様で書く。 動物の世界でも植物の世界でも、生命は究極のストレスにさらされると、子殺しや異常発生を繰り返すという。 核家族化し頼る縁者がなく四六時中子供と対峙する中で、「この子がいなければ」と短絡思考する人を、あながち責められるのだろうかと思える。

『追々伸』
 総選挙の行方を床屋政談的に眺めるのならば、きっこのブログが面白い。今日のエントリー・小沢一郎がダメなワケなど、なるほどなと思わせられる。
by bouen | 2008-09-28 05:47 | 茫猿の吠える日々


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