日本民家園

 今月初めは東京にいました。 連合会化各論二次答申を審議する企画委やNSDI-PT次期予算案根回しなどが主な上京目的でした。 それらの報告は後日と致しまして、今日の記事は半日遊びました日本民家園についてです。 日本民家園は川崎市多摩区・小田急向ヶ丘遊園駅から徒歩十分ほどの生田緑地のなかにあります。 川崎市立の民家園には沖永良部島の高倉から南部の曲がり屋まで、全部で23棟の主に農家が移築復元されています。 なかに、岐阜県大野郡白川村の合掌造りも移築されているというので訪ねてみました。



 新宿から小田急に乗って着いた民家園は薄曇りの天候の中、訪れる人も少なく、一つ一つの家屋をゆっくりと拝見するにはふさわしい日でした。 武蔵野雑木林の丘陵地勢を生かして造成された民家園は未舗装の起伏道が多いので、冬枯れのなかを散歩するのが一番良いように思われます。 冬枯れとは申せ、サザンカの花も梅の花もございますから、茅葺き屋根が佳い風景をつくっています。

 民家園の正門入り口を入ってしばらく行きますと、この柿(コケラ)葺きの農家が見えます。なにやら懐かしい鄙を思わせる風景です。


 こちらは水車小屋です。農村風景になくてはならない究極のエコ動力です。


 お目当ての一つ、正統派合掌造り白川村旧山下家です。 川崎市内で料亭務めをしていた家を再移築復元したのだそうです。 合掌造りの茅の葺き替えには大量の茅が必要なのですが、この民家園は御殿場の自衛隊演習場に広い茅場を契約しているそうでして、茅の途絶える心配は無いそうです。


 沖永良部島の高倉です。穀物貯蔵庫なのですが、湿気とネズミを防ぐ為の高床で、貯蔵庫は茅屋根のなかにあります。


 出羽から移築したハッポウと呼ぶ曲線の美しい高窓が特徴です。周りの茅囲いは雪を防ぐ冬囲いです。


 茅はカラスの格好な遊び道具となっているようです。 カラスが茅を一本ずつ引き抜いて遊んでいました。


 満開近い梅の花越しに園内を眺めます。


 多くが茅葺きの民家です。茅葺きでない家も柿葺(コケラ葺)ですから、茅やコケラの腐食を防ぐ為に囲炉裏の火が欠かせません。茅などを燻しているのです。 堂守もしばらく囲炉裏端に座り込んで世界遺産白川郷談義に加わりました。 ちなみに、幾つかの囲炉裏で燃やされている薪は全て付近の雑木林から手にはいるそうです。桜の薪などは香りも佳くて、囲炉裏で薫製を作ったら好いものができることでしょう。


 古民家の集まるなかで異彩を放っているのが、この原家住宅です。民家と言うにはあまりにも豪奢な住宅です。他の民家が農家であるに対して、この家だけは料亭といっても通る造りです。


 古民家を観ていて興味深いのは、その家全体の造形美もございますが、釘を使わない建築の縄目の美しさ、チョウナやヤリカンナで整えられた柱目の素朴な美しさ、太い曲がった松などの梁を巧みに使っている技術力など、今や途絶えつつある在来工法に出会えることです。園内でも南部曲がり家や佐久の佐々木家などでは屋根の葺替え補修工事が行われていました。 これらの補修工事が古来技法の伝承になっていると思えば、川崎市に感謝です。

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by bouen | 2009-02-06 16:25 | 只管打座の日々


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