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野党党首秘書逮捕に想う

 民主党代表小沢一郎氏公設秘書が東京地検特捜部に逮捕され、小沢氏が釈明記者会見を行いました。 少なからぬ事実関係が明らかにされていないなかで、一部報道は小沢氏の事情聴取もにおわしています。 この種の事件に早々と感想記事を掲載するのは茫猿の好むところではないが、ロッキード事件や細川元総理の佐川献金疑惑辞任事件などを思い起こすことから観測記事をアップします。



 この時期に多額の政治資金疑惑とはいえ、直ちに贈収賄につながるとも見えない事件をなぜ上げたのかという疑問です。 政治と金にまつわる問題に限定すれば、清廉即ち頼もしい政治家とは言い切れず、清濁合わせ呑むという背景もあながち否定できません。 田中ロッキード事件などはまさにその一面が云えましょう。

 田中ロッキード事件は、明らかに日中友好を目指した田中政治に対する米国の異議申し立てであり、だからこそ米議会証言に端を発した事件でした。贈賄側が免責され、虎の尾を踏んだ収賄側が訴追されたのです。 その後の闇将軍支配は日本の政治を歪めたものにしたのも、事件の一つの結果だと云えましょう。

 細川内閣の総理自身の献金疑惑による内閣崩壊は、多分に、今よりもはるかに左派傾向の強い当時の社会党を含む連立政権に対する日本の奥座敷からの嫌悪感が為さしめたものと云えるのでしょう。 その後の自民・社会連立は社会党左派を骨抜きにするに随分と役だったと云えましょう。 そして社会党の弱体化は労働三法の骨抜きにつながり、現在の派遣切りに続いていると考えられます。

 今回の小沢秘書逮捕事件を深読みすれば、前二件と同様のことが透かし見えます。 つまり、麻生内閣は弱体化し予算成立後には五月解散が必至とも見られた時期です。 総選挙結果は相当程度の確率で民主党連立政権の誕生が予想されます。 連立対象は民主党、国民新党そして社民党でしょう。 共産党は連立に加わらないでしょうが、是々非々協力は十分に考えられます。 これは日本の奥座敷やネオリベラリズムにとっては決して好ましいことではないでしょう。 民主・自民の連立ならばまだしも、社民党の政権参加や、共産党に消極的支持される政権は容認しがたいと考えるのが妥当なところでしょう。

 ことはそれだけでなく、小沢氏の主張する主体的日本外交への復帰論への嫌悪感も背景にあるかもしれません。 また、類似行為を為しながとら職務権限がある側(与党、政府高官)は問題とされず、ただ金額が多いからと野党党首側が操作されることの妥当性などについて、市民は自らの眼でよく見てゆく必要があると考えます。 さらに、公明党並びに創価学会にとって見れば、長年続いた政権の座から滑り落ちることは耐え難いことかもしれません。 折しも学会宗教施設の政治的利用の是非も囁かれています。

 そういった、日本政官財界の底流に流れている空気を検察庁と法務省が読んだという観測は、穿ち過ぎであり、深読みが過ぎるという批判は当然にあろうかと思います。 国家権力の中枢に位置する誰かが捜査・逮捕にゴーサインを出したのであろうが、この種の表面的事象と底流との関係は50年程度の時間を経なければ明らかにされないでしょうし、時を経ても明らかにならないかもしれません。

 でも、一つ一つの事象について「アレッと感じること」も大切なのだろうと思います。 なぜ今なのか、献金額の一部に時効が迫っていたというリーク記事もありますし、野党第一党党首の事情聴取をほのめかすリーク記事もあります。 事情聴取は即逮捕につながりかねません。 報道の多くは検察庁側のリークに拠るところが多いのであろうし、世論の誘導を意図した報道でもあろうかと思われます。 事件の結末は判りません。判りませんが、この時期にこの種の事件発生は民主党にとって大きな打撃でしょうから、既に「党首に対する疑念有り」、「小沢氏の政治資金調達方法は?」という一つの目的は達したとも云えるのです。 

 茫猿は田中角栄政治の申し子である小沢氏を無条件に支持するものではありません。 また、"検察が政治的に動く"などと云うことを述べたいのでもありません。 でも政治に、特に高度な政治性に検察が無縁とも思いません。 ただ、事象の表面的な推移だけでなく、その底流も透かし見ていたいと思うだけです。

『09.03.10追記』
 これらに関して、凄い話がWebに流れている。
戦前型警察国家の謀略官僚人脈 - 漆間巌、大林宏、田母神俊雄

 永田町徒然草はこう云う。
小沢問題の本質

 こんな話もある。
「迂回献金」と「逆国策捜査」

 田中真紀子さんの切り口も鋭い。(YouTubeだから削除される前に見ておこう)
サンプロ:田中真紀子語る
by bouen | 2009-03-12 05:40 | 茫猿の吠える日々


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