不動産任意売却促進法案:議員立法

 非司法競売手続の導入に関して、「自由民主党司法制度調査会・明るい競売PT」が法務省民事局・競売制度研究会が示す『新B案』で結論をとりまとめる方向と記事にしたのは2008年5月30日のことであるが、自民党司法制度調査会は議員立法の方向で法案を取り纏めたと報道されている。 法案の全貌はまだ明らかにされていないが、法案が成立すれば競売制度が大きく変わることになりそうである。



日経NETより引用
担保不動産売却、抵当権1位同意で可能に 自民が法案

 自民党司法制度調査会(保岡興治会長)は16日、借金の担保となっている不動産を、裁判所による競売にかけずに所有者の意思で売却額などを決める「任意売却」を進めやすくする法案をまとめた。買い手が見つかった場合に抵当権1位の者が同意すれば、ほかの担保権者が1カ月以内に競売の実施を求めたり、5%以上高い価格での買い取り先を見つけたりしない限りすべての抵当権を外せる仕組みに改める。 17日に党内手続きを終え、今国会に議員立法で提出する方針だ。(09:21)

自民党サイトより引用
 自由民主党・法務部会は3月17日、議員立法として取りまとめた不動産任意売却促進法案を了承した。同法案は、複数の抵当権が設定された不動産の売却を促進するため、裁判所による抵当権抹消を可能にするもの。

 ただし、抵当権者が1ヵ月以内に競売を申し立てた場合、または、売却予定額の5%を上乗せした金額で買い取る売却先を見つけた場合は抹消されない。現行法では、担保不動産はすべての抵当権者が合意しなければ事実上売却できない。このため、後順位抵当権者に納得してもらうため、土地所有者が法外な「ハンコ代」を支払わされるケースがあった。また、競売は手続きに時間がかかるため、その間に不動産価格が下落するなどのリスクを負わなければならなかった。

 同法が成立すれば、担保不動産を早期に売却し借金返済に充てることが可能になり、土地取引の活発化が期待できる。今国会に提出し、早期の成立をめざす。
 

非司法競売手続導入Ⅲ (08/05/30)

非司法競売手続導入Ⅱ (08/05/15)

非司法競売手続導入Ⅰ (08/05/14)

不動産鑑定士は蛸壺のタコか? (08/04/13)

 この問題は鑑定業界側からすれば、競売申し立て件数が減るとか、競売評価書がないがしろにされるという指摘が聞こえてくるが、実態はその程度で収まるものだろうかと思われる。
先ず債務者側からすれば、司法競売手続きであれば、数ヶ月~十ヶ月程度の事実上の猶予期間が与えられたものが、大幅に短縮されることとなる。

 任意売却制度は以前から存在したが、現在の任意売却はまさに債務者側の合意のもとで行われる任意売却であったものが、新法案は債権者側の申し立てによる任意売却手続きである。 有り体に云えば、売れ筋の破綻不動産を早期に売却し資金を回収しようと云うものであり、都市圏のマンションや戸建住宅などがさしずめ予想される対象物件であろう。 伝聞情報に過ぎないけれど、都市圏域ではサービサー業務(債権管理回収業)に付随して、残された動産の一時保管業務、破綻マンションのクリアランス業務、そして転売再販業務などがシステム化されつつあると聞く。 つまり債権者側にとっては、新しいビジネスチャンスの到来と云えるものと思われるのだが、如何であろうか。 "かんぽの宿"競売版と云っては言い過ぎなのだろうか。

 折しも「おくりびと」(納棺師)なる映画がアカデミー賞を授賞した。 破綻不動産、特に居住用破綻不動産については、その最後を全うする"粛々かつ整然とした手続き"こそがふさわしいし、求められるのではなかろうか。 市場経済合理性のみが跋扈する手続きが好ましいのかと疑問なのである。 ネオリベラリズムの合理性に対するには、情緒的に過ぎると思いながら、でもやはり、窮状にある債務者にとっては半年あるいは十ヶ月程度の猶予時間は貴重なものと思えるのである。 せめて、任意売却手続きが実行された場合は、当該残債務も全て償却される、つまり実態としてノンリコース的処理が約束されるのであれば、債務者にとっても幾らかの受益があろうと云うものであるのだが、それこそ情緒的に過ぎるか。
[PR]
by bouen | 2009-03-19 04:01 | 不動産鑑定


<< イラスト公開 員弁川早春賦 >>