情断の備えは杞憂か

 新スキームに関して中央管理サーバシステム構築は着々と進んでいるようです。
本年度予算措置も講じられつつあると仄聞します。
 しかし、新スキーム情報を受けて「共同利用」実施のために整備しなければならないと考えられる「都道府県士協会ネットワーク構築」に関しては、遅々とした歩みであり、本年度構築は期待薄である。
危うい状況を放置しようとする鑑定協会理事者の姿勢には隔靴掻痒の感一塩であるが、無役の鄙人の身である茫猿としては如何ともし難いのである。

 茫猿も手をこまねいている訳ではない。機会ある毎に説得を試みている。
でも、なかなかに理解を得られないのである。
勿論のこと、全ての役員氏が無理解という訳ではない。十全に理解を頂いている方も少なくない。だがしかし、現実という壁の前に多くの役員氏は妥協を余儀なくされているようにみえるのである。





 巷間いわれる「新スキーム:中央管理サーバシステム」とは、取引価格情報開示制度の充実を目的とする中央システムであり一般会員のアクセスは考えられてはいない。そこで作成された取引情報を鑑定士が共同利用するためのシステム即ち「都道府県士協会毎のネットワーク」構築が必要なのであり、従来型の事例収集・共同利用に際してもこのネットワークは有用というよりも必須条件なのである。

『某氏いわく』
 各士協会は既に事例収集・利用に関するシステムを稼働させている。新しいシステムを導入するには会員の理解が必要だが、現況の変更には抵抗が大きくて、とても困難である。特に紙媒体での閲覧は便利という意見が多い。
『茫猿は問う』
 現在、幾つかの士協会において稼働中のシステムは個人情報保護ガイドラインに照らして、安全なのでしょうか。セキュリテイ監査に耐えうるものでしょうか。
 本人から開示請求が生じた場合に、トレーサビリテイは十全でしょうか。
共同利用を行うに際して、正しく回答できるだけのデータ管理がなされているでしょうか。紙資料での閲覧が便利という「自己都合優先主義」に、茫猿は組みしないのである。

『某氏いわく』
 士協会システム構築には多額の費用がかかり、会員の理解が得られない。
『茫猿は問う』
 構築初期費用は数千万円と多額ですが、リース方式にすれば、維持費と併せても会員一人当たりの月額負担は2,000円前後です。安全と利便性を得る費用として、月二千円は多額に過ぎるのでしょうか。

『某氏いわく』
 地価公示でもFD利用が認められているから、急ぐ必要はない。
『茫猿は問う』
 平成18年度地価公示において、前年度のようにFD利用が認められる保証は何処にもない。FD利用は暗号化等の条件が課せられるものと考えておいた方がよかろう。
 さらに、個人情報保護法は漏洩等の結果責任を云々する以前に、個人データ取扱に際して十全の安全対策を講じたか否か、いわば未必の故意を糺していると理解できます。そこでは、理事者や管理者が十全な対策を講じたか否かが問われます。

『某氏いわく』
 現在の事例収集システムは安全に機能しているから変える必要はない。
『茫猿は問う』
 新スキームは法務省提供の行政情報を原資としますから、事故が発生しなくても事故の発生が懸念されれば、情報の提供は遮断されるでしょう。
 同時に、現在遂行中の従来型事例収集も市町村等の行政情報を原資とするものです。全国の何処かで事故が発生しなくても、鑑定士のコンプライアンスに疑念を抱かれたら、悪質なクレーマーが出現したら、情報の遮断が起きるであろうと予想します。

 いわば、この原始情報遮断リスクに対策を講じておくことが必要なのであり、全国士協会ネットワーク構築は、鑑定協会及び士協会のリスクヘッジとして有効な手段であろうと考えます。
そしてネットワーク構築は、鑑定業界のIT化に大きく寄与するものです。

『茫猿は再度問う』
 隣接法律専門職種であり、不動産の高度な専門家であると自負する不動産鑑定士団体において、「何億円、何十億円という取引情報の取扱が杜撰」という記事の出現を恐れます。共同利用個人データはその利用末端においても正しく管理されている必要があり、特に廃棄処分について、処分方法並びに処分データ種類及び処分日時の管理が問われるのです。
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by bouen | 2005-09-07 07:45 | 不動産鑑定


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