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第249理事会レポ

 岐阜会のWANを経由して、鑑定協会T理事から第249理事会のレポートが届いた。T理事のご理解を頂いたので大量の報告文書の内、新スキーム関係に絞って抜粋転載しようと思う。ようやくに新スキームに関連する理事会議論が高まりつつあるようだ。未だ遅きに失する時期ではないから、鋭意論議を深めてもらいたいと思う。ただ、試行区域と非試行区域とでは情報量や理解度に差があるようにも認められるし、マイナスイメージ先行の議論もあるようだ。



 仄聞する限りにおいては本質論が放置されたままに、枝葉末節論に陥っている傾向も否めないのではなかろうかと思う。
 理事会における新スキームに関連する理事発言メモを、ほぼTリポート原文のまま搭載しようと考えたが、畏友A.T氏よりWeb公開は拙いのではと云う御忠告も頂いたので、茫猿のことはともかくもT理事に不測のご迷惑をおかけしたくないので、取り止める。以下は関係諸方面への茫猿の取材結果による記事であり、理事会発言抄録ではない。

【新スキームに関する会員の否定的意見】
●毎月々々、公示に直接関係のない、マンションや農地や林地の事例を大量に作成しなければならないのは、とても負担である。時間も取られ諸経費もかかることであり、事務所経営が破綻しかねない。
●公示評価員として事例を作成するのは吝かでないが、事例作成業務に何の関与もしない会員が当然のように共同利用を認められ、汗の結晶を利用するのは理解できない。
●法的な根拠もなく地価公示にこと寄せて、会員を使役するのは問題である。
●地価公示は制度的に疲労しているのではなかろうか、公示評価本来の価格分析に集中できる環境を取り戻したい。
●土地総合情報制度に於ける価格情報開示方法はこのままでよいのであろうか、中途半端な今のB案状態を放置しておけば国民から批判を招くのではと危惧する。
●地価公示も鑑定協会も制度疲労状態にあり、地価公示の枠組みで新スキームを拡大してゆくには無理がある。

【新スキームに関する会員の肯定的発言】
○地価公示は社会から、それなりの評価を得ている。
○ただし、地価公示は速報性に難点があり、それを新スキームで補強できると考える。
○専門家集団としては、前向きな投資(会費値上げも)をすべきであり、悉皆調査など負担も大きいが、鑑定評価を情報産業として協調して社会にアピールしてゆく時代が到来したと考える。
○会員はパラサイト的意識や被害者意識を捨てて、国民の利益のためにという視点に立脚してほしい。
○鑑定評価業務全般に於いて官公需に依存する状態から早期に脱却すべきである。

【T理事御意見の要旨】
 新スキームについては大都市圏で試行されているが、実際に作業している会員の悲鳴が聴かれ、地方圏の士協会では参加したくない旨の意見も出始め、協会内部で不協和音が止まらない。
 他方、全国的にデータを継続的に得られる絶好の機会でもあり、このチャンスを逃すべきではないとの執行部の見解も判る。執行部では国土交通省と地価公示制度のさらなる精緻化を視野に入れて、「地価公示=新スキーム」を念頭に慎重に交渉している様子である。
 私は基本的に新スキームを全国的に導入拡大して行く方向に賛成である。法務局のオンライン化が全国的に進められてゆくなかで、鑑定士サイドが1次データに容易アクセスできる機会は、これを逃すとまた再びは来ないであろう。
 もちろん現場での負担を軽減し、調査に従事する会員に手厚く報いる制度的補完も不可欠であろう。ウエブで情報が手軽に得られる状況を安易に実現すべきか否かは慎重に考えたいが、受益者負担の原則によるシステムは早期に導入すべきではなかろうか。

【茫猿独白】
 この二年間というものが何であったのだろうと思う時がある。
一連のTリポートを読んで、デジャブ(既視感)にとらわれるのである。
2004/08/26 事例収集新スキーム
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2004/09/09 千載に悔いを残すな
by bouen | 2006-06-06 05:31 | 不動産鑑定


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