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地方の証券化支援-1

 平成19年度国交省・土地・水資源局関係予算の新規目玉事業に以下のモノがある。
(1)土地市場の条件整備  1)総合的な土地政策の推進
①地方都市における不動産証券化市場活性化モデル事業 125百万円(新規)

 国土交通省は、「地方における不動産証券化市場活性化事業」への参加予定団体などの状況調査を、4月16日まで実施すると発表し、応募必要書類を、国交省のホームページに掲載した。



 『国交省ホームページよりの引用です』

「地方における不動産証券化市場活性化事業」への参加予定状況調査について(H19.3.16 国交省総合政策局、土地・水資源局)

 国土交通省では、地方における不動産証券化手法のノウハウ蓄積と人材育成を図るため、平成19年度予算成立後に、「地方における不動産証券化市場活性化事業」を実施する予定です。

1.不動産の流動化・証券化に関する講習会等支援事業(仮称)

(事業内容)
不動産証券化に関する講習会や勉強会を実施する団体等に対して、講師謝金等実施費用の一部を支援します。

(団体等の要件)
① 不動産証券化のプレイヤー(アレンジャー、アセットマネージャー、プロパティマネージャー等)となる立場にある者(不動産会社、不動産鑑定業者、金融機関等)に対して、不動産の証券化に関する講習会等を実施する団体等。

② 地域経済の活性化、町並みの保全や観光の振興等を図るための資金調達手法の一つとして、不動産の証券化に関する勉強会等を実施する団体等。

③ U・Iターン希望者(地方において不動産証券化の知識を活用して再就職等を行う意欲のある者。例えば、都道府県やハローワークにU・Iターン希望者として登録されている者等。)に対して、不動産の証券化に関する講習会等を実施する団体等。

2.不動産の流動化・証券化に関する実施過程検証等事業(仮称)

(事業内容)地方(東京23区内、名古屋市、大阪市を除く。以下同じ)の不動産物件の流動化・証券化に取り組もうとする者(中小不動産業者又はメインプレイヤーとして不動産鑑定士が関わるものに限る。以下同じ。) より事業案件書を募り、書類選考を経て、実現性が見込まれる案件を抽出し、専門家によるアドバイスを行います。

 また、実現性の高い事業提案をした者のうち、不動産の流動化・証券化の実施過程に関する報告書を作成し、関連書類(不動産鑑定評価書、エンジニアリング・レポート、契約書等)を添付のうえ提出する者に対しては、報告書の作成過程における専門家のアドバイス及び報告書の作成費の一部を支援することを予定しています。


【地方の不動産物件の流動化・証券化に取り組もうとする者(中小不動産業者又はメインプレイヤーとして不動産鑑定士が関わるものに限る。以下同じ。) より事業案件書を募り、書類選考を経て、実現性が見込まれる案件を抽出し、専門家によるアドバイスを行います。】
 『メインプレイヤーとして不動産鑑定士が関わるもの』と明示されているのに、地方鑑定業界や地方鑑定士協会の動きは鈍いように見える。
 かくいう茫猿も07/02/10時点で予算内容は承知していながら証券化についての関心は低かったわけで、自身の「センス、センサー、スピリット」の鈍さを感じざるをえない。でも4/16は事前調査の締め切りであり、地方在住の不動産鑑定士は今後の本格的展開に向けて準備を進めなければいけないと考える。
 125百万円もの新規予算額が計上されているのである。「講習会等支援事業」、「実施過程検証等事業」への1件あたりの資金支援額はわずかであろうが、慢性的構造不況や二極化地価下落現象を嘆いてばかりでは、展望は開けないのであり、突破口として捉えるに相応しい事業ではなかろうか。

 茫猿はこれからの鑑定業界が向かう方向は、こちらも二極化であろうと考える。一つは限られた富裕層(資産家)対象の相続問題、有効活用、証券化といったコンサルティングサービス提供、もう一方は裾野の広い不動産関連市民コンサルティングサービスである。後者はインターネットを利用して鑑定業界が保有している様々な情報を、加工提供してゆくサービスである。一件あたりの収益は微々たるモノであろうが、まさにロングテール的な効果が期待できないだろうか。
 この両者、富裕層向け事業と一般市民向け事業は別個のモノではなく、両者は相互に関連するものであろうと考える。裾野の広いインフラとも云える広汎な基礎データを蓄積し活用してゆくことから富裕層向け事業の質的向上が実現するものであり、それら高度なサービスのノウハウやコンサルティング結果の反映が基礎データも不動産関連市民コンサルティングサービスも向上させてゆくと考える。

 「地方における不動産証券化市場活性化事業」参加は原則として個々の鑑定事務所の自助努力に待つモノであろうが、零細事務所が多い地方では協業化が必要であり、その部分では広い意味で士協会の支援が必要であろう。同時にこれらの高度なコンサルティング事業も士協会等が関与する不動産情報インフラに支えられる部分が大きいであろうから、その意味でも士協会等の理解や支援が望ましいと考えるのである。

それにしても日本不動産鑑定協会の地方支援(情報提供等)姿勢の鈍さというか薄情さはとても嘆かわしい。
 『 とでも申せば、「自助努力でしょう」と返ってくるのでしょうが !? 』
by bouen | 2007-04-13 15:44 | 不動産鑑定


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