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第六回:塾報告

 08/08/29開催の塾・鄙からの発信の報告を致します。今回の塾は講師に遠路熊本のロンツ総帥:西浄隆志氏をお迎えしての開催でした。



 東京事務所より前日に来岐された西浄氏は、新幹線が岡崎付近豪雨の影響で名古屋駅手前で前夜に二時間も停車延着し、とてもお疲れであろうに、疲れを毛ほども見せずに集った三十名余の塾生のために、延々三時間の講義をいただきました。 さらに閉講後も夜遅くまで宴席にお付き合い頂き、塾頭としては「感謝」の一言以外にお礼の申しようがございません。
  

  

 西浄氏のお話は多岐に亘りました。時に前夜のお酒が脳髄を駆けめぐるとは申されながら、鑑定業界並びに鑑定評価に潜む問題点や業際ビジネスの有り様など時に辛辣に、時に鋭く、時にユーモアたっぷりと多くの指摘をいただきました。鑑定業界の出身ではあるけれど、いまや国際ビジネスマンである西浄氏だからこそ指摘できる視点の多様さを思わされた一日でした。以下は西浄氏の講義抄録ですが、茫猿のメモも録音もとっていない聞き覚えによるものです。全てが西浄氏の講義であるという確信はございませんが、大筋に大異はなかろうと考えます。 『いずれにしても、文責は茫猿のものです。』

・鑑定協会の連合会化に潜む問題点
 個々の士協会が自主・自立・自律を確保し、単位会並びに地域会が自らの社団化の方向性を見いだすべきであるという指摘は、茫猿の年来の提唱とも合致する指摘でした。鑑定協会に造反せよと云うのではない。ないがしかし、鑑定協会が右向けと云えば右向き、左向けと云えば左向くような自主性の無さでは何も得られない。茫猿はそう受け取りました。

・固評などを通じて進めなければならない地域密着型士協会のあり方
 士協会は固評業務を通じて、市町村と密接な関係にあるはずである。地方財政の緊縮が叫ばれる中で、三年ごとに進歩のない評価を行っていてはならないのである。前回と比較して評価報酬を切り下げるのか、または新しい付加価値を提供できるのかが問われている。十年一日の評価報告書を納めてこと足れりとするような士協会や会員鑑定士に未来は無いであろう。何よりも、行政情報や地理情報の宝庫である市町村と手を携えて、不動産の新しい地理空間情報&鑑定の未来を切り開いてゆかねばならない。

・地理空間情報と鑑定評価の連繋
 先に述べられたことと併せて、NSDI-PTの重要性に言及されました。我田引水ではございますが、我が意を強くしたものです。

・鑑定評価書の提出で完結しては為らず、鑑定からコンサルビジネスへ
 鑑定評価と鑑定を区別したいと云われました。特に証券化や民事再生ビジネスに関わる時に、評価もさることながら、「鑑定」に重心を置きたい。不動産評価価額ではなく、提供できる【事業自体:企業自体】の【鑑定結果メニュー】の豊富さ多様さに重心を置きたいと話されました。

・DCF法の限界、利回りは準備資金利回りにあること
 この項は間違って聞いたかもしれません。 茫猿が記憶する氏の論点は「利回りなど永遠の課題」である。 利回りは事業者の準備資金利回りのなかにある。大意を、そう伺いました。

・中国ビジネスの基本姿勢
 賄賂やコネクションを騒ぎ立てる中国ビジネス関係者はそれらに傾いて失敗した者の繰り言である。 中国ビジネスは契約社会である。賄賂やコネなどに傾いたビジネスは失敗する。

・三点思考法並びに「三」の意味
 三は多いという意味である。白髪三千丈は千丈に意味があるのではなく、三に意味がある。一度会えば朋友、二度会えば青朋友(青は誤認かもしれません)、三度会えば老朋友。三度の意味は何回もという意味と、一回で互いに互いを知るという深い意味もある。わずか三度の出会いでも互いに肝胆相照らせば老朋友(ラオポンユウ)なのである。

・多面的な思考、情報の取捨選択
 広く情報を集め、自らの視点で考えることが大切である。

・日本から見る日本と中国から見る日本
 井の中の蛙と日本では言うが、中国では「井の中の蛙大海を知らず、されど空の深さを知る。」と言う。(この項も誤認識かもしれません。)

 印象に残るテーマを思い出しながら、数え上げますと多面・多様などと云う表現では言い尽くせない、評論家には話せない、実践に裏打ちされた拡がりと深みのあるお話に参加した全員が圧倒されていました。 閉講後、後楽荘における歓迎宴席での西浄氏のエネルギッシュで洒脱な会話は、西浄ファンをまた多く増やしたことでしょう。

「最上(西浄)の老朋友」に、もう一度お礼申し上げます。 有り難うございました。塾・鄙からの発信は機会を設けてツアーを組み熊本を訪れたいと思っています。 また、この秋(11/21)には、岐阜で鑑定評価シンポジウムが開催されます。 併せて、NSDI-PTプレゼンやデモ展示も企画しています。西浄大兄をはじめ熊本会の皆様の御参加を鶴首してお待ち致します。

by bouen | 2008-09-02 17:20 | 塾・鄙からの発信


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