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NSDI に立塞がる暗雲

 NSDI-PTは、昨10/09に委員会を開催して、応募SI企画のなかから選考の上で一社を選定しました。今後は同社に対して最終照会を行うとともに、中旬に開催が予定される情報安全活用委員会の最終審査を経てプロトタイプモデル構築契約の運びとなる予定です。 NSDIプロジェクトはひとつの山を越えたと云えますが、昨今の景況は山を越えないうちにその前途に暗雲が立塞がったという感がします。



 読者の皆様が先刻ご承知のように、サブプライム問題に端を発した景況悪化は、「ニューシティ・レジデンス投資法人」が資金繰りに窮して破綻し、次いで大和生命も破綻し、景況の悪化は止まるところを知らない状況です。株価もREIT指数も年初の半値以下となる様相ですし、様々な景況指数も低下の一途です。

 それらの景況悪化がNSDI-PTに立塞がった暗雲という一般的な話ではなく、実は今回のNSDIプロトタイプモデル構築事業は当初事業計画にも当初予算にも計上されていない事業であることから、事業の必要性や緊急性を役員会でお認めいただき、急遽予備費等の流用をお認めいただいた事業であり、プロトタイプ構築事業という性格からいわば調査費を認めていただいたという状況にあり、来年度には本格予算計上という暗黙の了解が背景にあります。

 ところが、鑑定協会財政の逼迫状況は数年来のことであり、次年度も緊縮予算が余儀なくされると予想されます。そんななかで、次年度において今年度の調査費計上を大きく上回る事業費計上はとても困難なことであるというのは、これも当初から予想されていることであり、新規事業の発足が困難ななかでその重要性を認めていただくには、プロトタイプモデルを構築して、然るべくプレゼンテーションを行い、広く周知するというのが、NSDIーPTコーディネーターの目論見でもありました。

 しかし、これほどの景況悪化は鑑定業界にも大きな影響を与えることでしょう。 REIT市場の縮小や株価の低落は不動産市場の縮小に直ちに連結するものであり、鑑定業界の景況悪化に直結するとみてまず間違いのないところでしょう。 ここしばらくは新規事業の創設などとんでもないという機運が蔓延するとみておいてよかろうと思います。 そのことを指して「NSDIプロジェクトに立塞がる暗雲」と申したのです。 ことの推移は予見不可能です。次年度においてNSDI事業の本格化を目指すというのは変わりない方針ですが、諸般の状況はそれを安易には許さないと見るのも妥当なところでしょう。

 次年度事業計画並びに予算積算は年明けから本格化しますが、11/21に予定するNSDIプロトタイプモデル・プレゼンが仮に成功したとしても、その後の展開は予断を許さないと見るのが妥当なところと考えます。 簡単に諦めるわけにもゆきませんが、効果的な打開策がすぐには見当たらないというのも実情です。 鄙の堂守は、この事業が鑑定評価の将来に大きく影響するという考えに変わりはありません。しかし、それが業界のコンセンサスを得られるだろうという楽観はいまや捨てています。 細々でも継続事業化するか、頓挫するかは、11/21のプレゼンに懸かっているという感で今は一杯なのです。

 話し変わって、米国の不良債権処理について「世に倦む日々」は、日本の不良債権処理は国民の10年間の犠牲で不良債権を銀行帳簿から消したのだと言っています。
 いわく、(1)銀行の貸し渋りと貸し剥がしによる中小企業の身代わり倒産。 (2)超低金利からゼロ金利を耐えさせられた、庶民の所得の銀行移転。 (3)大手銀行に与えられた免税特権(そのことが国家の財政赤字を拡大させ、庶民の医療や介護などの社会福祉を低下させた。)
 十年以上のゼロ金利継続による所得移転総額は、計算方法により様々な額が云われますが、膨大なものであることは間違いのないところであり、不良債権処理に対する公的資金投入効果などは一時のカンフル注射であり、真実はゼロ金利継続による所得移転という方法によるところの、国民1人ひとりがその処理を分担負担したのであるということです。
by bouen | 2008-10-11 06:50 | NSDI:地理空間情報


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